濃厚接触者等のセーフティーネットについて

2021年2月15日

Q.
濃厚接触者となり、陰性だったが感染の可能性があるため、保健所から約2週間の自宅待機指示があった。派遣会社へ相談し休んだが、会社側は「休業してくださいとは言っていない」と主張し、休業補償をしてもらえない。何か休業補償の制度はないのでしょうか。

A.
Ⅰ.休業補償義務の有無について
一般的に、使用者の責めに帰すべき事由により従業員を休業させた場合には、使用者は休業補償をしなければなりません。しかし、新型コロナウィルスが全国的に感染拡大したため、休業補償義務の取扱いについて厚生労働省のホームページにQ&Aが掲載されているので、これを基に考えていきたいと思います。
まず、労災に該当しない感染者については、病欠となるので使用者の休業補償義務はありません。例えば健康保険に加入しているのであれば、傷病手当金を受給することになります。
次に、発熱等の症状がある、あるいはあったために会社を休んだ場合。
このケースは、①自主的に休んだ場合と②使用者の判断で休んでもらった場合で対応が異なります。①自主的に休んだ場合は、病欠と同様の扱いになり、使用者の休業補償義務はありません。②使用者の判断で休んでもらった場合には、一般的には「使用者の責めに帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業補償を行う必要があります(ただし、発熱等で就業できない日については病欠と同じ扱いになると考えられます。)。
そして、濃厚接触者の場合。
職務の継続が可能である方について、使用者の自主的判断で休業させる場合には、「使用者の責めに帰すべき事由による休業」に当てはまり、休業補償を行う必要があります。

Ⅱ.今回のケースについて
今回のケースについては、陰性であっても保健所から従業員に対して自宅待機指示があるため、「職務の継続が可能」とはならず、使用者の休業補償義務はないと考えられます(ただし、使用者が、保健所からの自宅待機指示を超えて労働者を休業させた場合、その超えた期間については休業補償義務があると考えられます)。

Ⅲ.セーフティーネット
では、発熱等により自主的に休業した方や保健所等から自宅待機指示を受けた濃厚接触者の方等は、休業中の収入補償を受けられないのでしょうか。
休業中の収入補償を受けられる”可能性がある”方法を2つ紹介します。
まず、1つ目は「新型コロナウィルス感染症対応休業支援金・給付金」の受給です。この給付金には「事業主が休業させた」という要件があります。しかし、厚生労働省のコールセンターに問い合わせたところ、現在この要件に当てはまらないからと言って、門前払いされるということはないという回答でした。
2つ目は、「会社に休業補償をしてもらい、会社は雇用調整助成金や緊急雇用安定助成金を受給する」という方法です。会社でこれらの助成金の受給が可能であれば、会社の負担が無いあるいは少額となるので、休業補償してもらえる可能性も高まるでしょう。
なお、上記の給付金や助成金(以下、「助成金等」という。)の要綱には、「使用者の休業補償義務がある休業」という記載はありませんので、新型コロナウィルスに関連して使用者が従業員を休ませた休業は、助成金等の支給対象になり得ると考えられます。

Ⅳ.最後に
この未曽有の災害に対して、給与収入者の収入補償の柱が雇用調整助成金であり、ここから漏れる給与収入者については緊急雇用安定助成金や新型コロナウィルス感染症対応休業支援金・給付金等の数種の助成金等でカバーする枠組みになっています。本来は支給要件を厳格に適用する助成金等ですが、政府が「国民の命と生活を守る」と話しているように、新型コロナウィルス関連の助成金等は、支給要件等をかなり広く解釈し、柔軟に対応している印象を受けます。助成金等の要件は他にも多くありますが、まずは行政機関や専門家に相談してみてはいかがでしょうか。