労働やまがた9月号「今月のひと」

ティンクホールディングス
株式会社代表取締役 
古川 光伸 さん

 現在も全国で新型コロナウイルスの感染拡大が続いています。山形では比較的感染拡大は抑えられていますが、いわゆる「新しい生活様式」の下、日常生活と、仕事などの経済活動の両立が進められています。その中で「テレワーク」という言葉を耳にすることが多かったのではないでしょうか。テレワークとは、情報通信技術を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方のことで、「3密」を防ぐだけでなく、生産性の向上が期待できるなど、注目されている働き方です。
今回は、デザイン会社と美容室を運営しているティンクホールディングス株式会社の古川社長に、テレワークや在宅勤務を始めとした柔軟な働き方、そこから得られたものについてお話を伺いました。
古川社長のこれまでのご経歴、会社のあらましについて教えてください。

元々は、2002年にTINKという女性向けのアパレルのお店からスタートしました。自分は東北芸術工科大学の4期生で、当時、学生発のデザインというのが話題になってきた時期だったので、アパレルと同時期に、友達何人かとデザイン会社を立ち上げました。その後、2005年から新たに始めたのが、アイスクリームデザインという会社です。
その頃はとにかくがむしゃらで、中心地を盛り上げたいという思いで頑張っていました。元々は七日町でやっていましたが、生まれ育った近所の青春通り(山形市飯田)が、寂しくなっていたこともあり、そちらを活性化させたいと思い、今の場所に移転しました。とにかくこの通りにどんどん店舗を増やしたいと思い知り合いにも声をかけましたし、2010年に美容室であるunchouchou(アンシュシュ)をオープンさせ、現在の社員数はアイスクリームデザインが5名、unchouchouが10名です。新型コロナウイルスの感染拡大の影響も考え美容室での販売を店舗からオンラインサイトにいち早く取り入れ美容商材のオンライン販売を実現。その他、紙媒体やWEB媒体のデザイン全般の他、Tシャツやユニフォームのデザインなどもやっています。取引先の企業様のデザインだけでなく、どうしたら課題を解決できるか、どうしたら物が売れるのか、などご一緒に考え解決する、コンサルティング的なこともしています。


【インタビュー中の様子】

古川社長の今のお仕事について教えてください。

今は自分でデザインするというよりは、マネージメント、ディレクター的な仕事が多いです。様々な企業さんや小さなショップさんを相手に取引していますが、「デザインして終わり」はちょっと違うなと思っていて、「デザインして結果を出していく」ということを意識しています。問題解決のためにデザインが必要なのか、もしかしたらデザインの他に解決できるものがあるのではないか、とお客さんと一緒に考えて提案していきます。そういうコンサル的なところも含め、お客さんもこちらも両方プラスになっていく、ということを目指しています。そのため、雑談も多いです。信頼関係が築けているからこそ、仕事になるのだと思います。自分は25歳で洋服屋を始めていろいろな経験をしました。また、実際美容室の経営もしてるので、そういう部分がお客さんの苦悩を理解することに活きていると感じています。

在宅勤務、テレワークを始めたきっかけについて

社員から山形でコロナウイルス感染者が発生したことで不安だという話が出てきたのがきっかけです。東京ではテレワークの導入が進められていましたが、山形ではまだ進んでいませんでした。まずは社員の不安をなくすのが第一と思ったので、最初は社会保険労務士さんにも相談しながら、就業規則の見直しを行いつつ、社員とも話しながらデザイン部門で在宅勤務を導入しました。オンラインでやり取りするために、色々なアプリやツールを活用しています。
美容室は、さすがに在宅勤務は難しいですが、長期間休業しても技術が鈍らないよう、社員の技術向上のための講習会を全てオンラインにしました。今までは東京から講師を呼んでいましたが、東京と山形をオンラインで繋ぎ、その映像を見ながら練習してもらうという形で行いました。


【オンラインでの技術講習会】

試行錯誤しながらテレワークを始めましたが、今は軌道に乗ったところでしょうか。そして今後、仕事のスタイルはこうなっていくんだろうなと思っています。最初は試しにやってみようか、という感じでした。もともと海外とも取引があり、現地とはオンラインでやり取りしていました。その経験もあったので、意外と在宅勤務でできるかも、という話も出ていました。
テレワークのための機器の導入に助成金が出ることになりましたが、うちは制度が始まる前から、とにかくやらないと、ということで始めたので、後からさかのぼって助成金の対象になってくれてよかったですね。

働き方の変化について

テレワークを取り入れて、仕事のやり方がだいぶ変わりましたね。
デザイン部門では、移動時間短縮もあり、取引先ともオンラインでやり取りするようになりました。どうしても会う必要があるときは自分が取引先に行くようにして、社員はリモートで入ってもらって、打ち合わせをしています。そういう新しいことを取り入れるクイックさはどこよりもあったと思います。
仕事の1日のスケジュールは、朝礼からオンラインで参加してもらって、今日することの確認をしてから、仕事を始めてもらうという流れです。細かい打ち合わせをするのが難しかったのですが、モニターを合わせ鏡のように使ってみたところ、うまく伝わるようになりました。お客さんにも勧めています。

デザインの仕事は、急に明日の朝までというような依頼が来ることもありますが、残業をさせずに定刻で帰れるような雰囲気をつくっています。社員には、今日は早く帰って翌日にでもいいよと伝えています。
6月からは、毎週土曜日を試しにテレワークに切り替えています。平日はフレックスではないですが、働きすぎたときに休んでリフレッシュしてもらう、ということも始めています。これまで、土曜は出社して午前雑用、午後のんびりというスタイルでしたが、その場所が家になっただけです。テレワークになったことでやり方とか考え方が変わったと思いますし、それで十分よかったです。

社員の反応について

スタッフからは、「効率が上がった」という声や、「在宅勤務ではすぐペットのお世話ができるのでいい」という声がありました。本格的にテレワークを始めて2か月くらいですが、このままでもいいんじゃないかと思っていて、出社する社員とのバランスも見ながら、どういう方法でやれるかを考えてやっています。
うちのスケジュール表とか凄いですよ。この時間からこの作業をする、というのが全部一発でわかるようになっていて、逆に自分でこの時間にこれを終わらせるというのがあるので、生産性が上がったりしています。その分、ゆっくり食事をしたり、ちょっと買い物にでかけたり、朝礼で、昨日結構働いたので、今日3時間位海で釣りをしてから仕事していいですかとか、結構そんな感じです。サボった分ちゃんと仕事しろよ、というのが方針です。

テレワーク導入の効果、今後について

トータルで見ても、結構結果は出ていると思います。会計上の話ですが、テレワークで移動経費が減ったというのが実際あります。出歩かない分、その時間生産できているから、問題なくやっている感じはしますね。売り上げとしては、美容室はコロナの影響がかなりありましたけど、美容室が落ち込んだ時にデザインがそれをカバーできた、というのが今回良かったと思ったところです。打ち合わせをオンラインでやって、そこから新たな発想とかコミュニケーションも生まれてきていると思います。
他の会社さんでも、本当に導入した方がいいと思いますが、ただ、これは企業の考え方もあることですので。うちはまだ小さい会社だから問題ないですが、相談はされますね。知り合いの社長さんから「テレワークどうなの?」って聞かれた時は、「結構いいと思うよ」と答えています。
例えば建設なんかだと、現場に行った時こことここに看板設置するからとか、すぐに決められるんですよね。今までは現場から帰って、後から確認事項が出てきて、じゃあもう一回現場行きますか、と二度手間だったりする。でも現場とタブレットでつなぐことで、ここに足場組んだ方がいいですかとか、どういう素材がいいのかとか、現場に行かなくてもその場ですぐに確認できます。ファックスしたり、口頭で言ってミスしたとかもなくなるんですよね。もちろん、どうしても現場に行かないといけないこともありますが、建設業のような業種でもテレワークができる部分がある。もっと柔軟な考え方でやっていってもいいんじゃないかなと思っています。

柔軟な働き方について

テレワークだと勤務管理が難しいのですが、その部分については顧問先の社会保険労務士さんに相談しました。女性の先生なので、女性の目線で、自分の分からないところを指摘してもらえるのでありがたいと思っています。例えば、美容室では、他の美容室でこういう働き方をしていると聞いたとしても、それはできないと教えてもらったり、パートから正社員にしないといけないということで、今回正社員にした方もいます。社会保険労務士さんとは結構フラットに会話できていますし、自分では分からない部分を事前に伝えているので、色々教えてもらっています。
今は美容室の方で採用を増やしたいと考えていて、その為に会社を法人化して、社会保険完備、働き方改革推進、とやってきています。美容室は個人経営が多く、法律や制度がよく分かっていないところも多いのですが、うちではきちんと社会保険労務士さんに見てもらっています。
美容師で、家庭を持つ人は、子供と遊びたいという人が多く、そちらに合わせられる働き方に変えていったほうが面白いなと。今独身のスタッフが今後結婚、出産する場合、働き方を変えていかないとずっと続けていくことは不可能です。そうなった時に選択できるような、スタッフに寄り添える働き方を提案できる会社になりたいと思います。生産性が上がって、売り上げも上がって、利益も出て、そこから皆さんにお給料を払うというのが理想です。
人によって、どう働きたいかはそれぞれで、全員に合わせるのは難しいですが、なるべく合わせたいと思っています。ネットを使えば、今日は早く帰りたいから朝8時から予約OKとか、朝ゆっくりして12時以降しか予約を受けないとか、そういう完全フレックス的な働き方も、個人的にはありかなと思っています。

 
【テレワークの様子】

○最後に、趣味を教えてください。

下手ですがゴルフと食べることです。付き合いもありますが、飲食店を巡ったりして、そこから仕事に結びつくこともあります。最近はなかなか出歩くことが難しいですよね・・・・。あと、若い頃にしていたスキーをまた始めました。


アイスクリームデザイン
〒990-2332
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TEL:023-666-8020
http://i-scream.biz/


un chouchou(アン シュシュ)
〒990-2332
山形市桜田東4‐9‐31
TEL:023-632-0488
http://unchouchou.com/

 
2020年9月1日
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