企業インタビュー
山形市

タカミヤホテルグループ

社員の取組みを評価し若い女性にも役職を与えていく会社です!
セールス&マーケティングマネージャー
遠藤 拓也 氏

<会社概要>
〒990-2301 山形市蔵王温泉三度川1118-7
電話:023-694-2520
資本金:本社1,000万円
設立:1716年12月(享保元年)
社員数:高見屋旅館120名・系列会社86名 R2.3月現在

タカミヤグループさんの概要について教えてください


弊社は江戸時代の1716年、享保元年に高見屋旅館を創業したのが始まりで、1954年に法人化して現在に至っています。今の当主である代表取締役会長 岡崎彌平治は16代目となります。現在、タカミヤホテルグループとして、山形県内全域と福島県猪苗代町に合わせて14軒の旅館・ホテルを運営しており、それぞれが小規模の旅館で、農家さんや酒屋さんなど地元の事業者の方々と連携しながら地域に根ざした旅館経営を行っています。

今は会長の長男と次男が経営を引き継ぎ、それぞれ本社の社長と系列会社の社長に就任し、2人体制を取っております。今の体制になってから、「従業員も満足しなければならない」という方針により、2018年から採用形態を変えております。

これまでは旅館ごとの採用がメインでしたが、それに加え、蔵王温泉内での転勤は可能という方は『蔵王エリア採用』、グループ旅館・ホテルのどこでも転勤可能な方は『グループ採用』といった採用形態を導入しております。グループ採用で総合職として高みを目指す方と各旅館採用・蔵王エリア採用といった転勤の無い安定した働き方を選ぶ方、それぞれのライフスタイルに合わせて選べるようにしております。女性はどちらかというと、パートで家庭と両立しながら働いている方が多いですね。一方で、正社員で15年、20年と長く働いている方もたくさんいらっしゃいます。

9月30日で緊急事態宣言が解除されましたが、客足はいかがですか?

9月までは少し厳しかったのですが、おかげさまで県内のお客様が非常に多くいらしてくださいました。10月以降は、県外からのお客様も増えてきました。今は冬に向けてようやく動き出した感じなのですが、「やはり地元の方に来ていただきたい。」との想いが強くあって、県内のCMは去年ぐらいからだいぶ強化しています。昨年のコロナ禍では県のキャンペーンもありましたが、我々も独自に「山形県民応援割」を企画し、山形県民の方は割安でお泊りいただけますよといったこともやりました。

社員のキャリアアップにも取り組んでおられるようですね

新入社員研修は外部講師を呼んで10日ほどかけて行っています。その後、フォローアップ研修という形で振り返りを行うのと、あとは5年後どのようになりたいのかといったキャリアビジョンを描いてもらって、5年間のうち、1年ごとに目標設定をさせております。加えて、日本の宿 おもてなし検定委員会が行っている「日本の宿おもてなし検定」を受けてもらっています。1級(指導)(旧「上級」)はおそらく日本で50人くらいしかいないんですが、全員が2級(応用)(旧「中級」)取得を目指して取り組んでいます。2級でもけっこう難しいんですが、うちは中級を取っている社員が多くいます。

また、弊社の特徴としては、マルチタスクといって、客室接客係でそれだけを行う形ではなく、接客に加えて企画の仕事や事務作業も行うなど、いろいろと多岐に渡る業務を行うことにより、仮に弊社を退職しても、いろいろな経験を積んでいるので次の職につながっていきやすくなっています。
また、弊社は14軒の旅館・ホテルがありますが、営業職がいないので、旅館ごとにプランの企画やお客様満足度を管理してもらって、PDCAサイクル検証しながら、いろいろなことにチャレンジしております。

今、旅行を決める際の意思決定の8割は女性が行っていると言われておりますから、女性に満足してもらえる、選んでもらえる企画を考えていく必要がありますが、そこは男性では考えられないところがありますので、女性に企画アイデアをどんどん出してもらいたいと考えているので、そういうのが好きな女子学生には非常に向いている職場だと思っています。ただ、先ほども申し上げたとおり、企画したらそれで終わりではなく、PDCAでお客様の反応を見て改善を行うというのが弊社であって、自分の企画がきちんと目に見える形で返ってくるというのは、大変ですがやりがいをもってやれる職場環境にあると思っています。先日も、2年目の女性社員の評価面接をしましたが、2年間でこんなにしっかりしたんだとびっくりしました。秋田からIターンで入社した社員ですが、モチベーションが非常に高くて、我々は「今の時点ですごいな。」と思っているんですが、本人は納得しなくて、「もっとこうできるはず」とか、非常に貪欲なんですよね。そういうチャレンジ精神がある方に活躍いただける会社だと思っています。
今は、インターネット上の口コミへの対応が営業上大事になってきています。1年間の平均点が出されるんですが、油断すると一気に下がっちゃいますので、キープするのは本当に大変です。ましてや点数を上げることは本当に大変で、全員で取り組んでいかなければならないので、モチベーションの高い方を探しているところです。

インターンシップを受け入れているそうですが学生の意識はどうですか

インターンシップは玉川大学と企画解決型のオンラインインターンシップというのをやっています。我々が課題を出して、学生さんがみんなで考えて課題に対する提案を出してもらう形ですね。学生の意識は毎年変わっていて、10年前の学生と今の学生は全く違います。企業側としてはその意識の変化を知ることができるということはすごくいいと思っています。オンラインで100人くらいの学生に対応して結構大変でしたが、やってみて非常に面白かったですね。学生と話をしましたが、「旅館業ってどんな仕事なんですか?」、「どういう仕事にやりがいを感じますか?」、「先輩にはどういう方がいますか?」といった質問が出されましたね。

働き方改革に関する取組みについて教えてください

旅館というのは毎日やるものといった意識がありますが、そうなるとどうしても長時間労働が増えてしまいますよね。ある旅館が休館日を週休2日設けても利益が変わらなかった、むしろ上がったというロールモデルがありましたので、弊社も休館日を設けることとしました。予定を立てることができますし、プライベートの時間も有効に活用できるようになりまして、従業員のモチベーションが上がりましたね。

あとは労務管理の部分でしょうか。昔はタイムカードを押した後に働くといったこともありましたが、今はアプリを導入して、分単位で勤怠管理をしています。顔認証ですから、そこに立っちゃうと出勤・退勤になっちゃいますので操作できないんですね。それで、「あなたは残業多いね。」といった感じで残業を減らしました。面白いのは、顔認証アプリなので顔色もわかるんですよね。ちょっと悩んでいるような人は出勤するときも顔に出たりするので「何かあったの?」と声をかけたりしています。企業としては社員の健康管理も大事ですからね。

産休・育休の取得状況はいかがですか?

今、産休・育休取っている方が二人いらっしゃいますが、子どもが1歳に達するまでということで一般的な育休・産休制度としております。復帰する場合は基本的には同部署同条件でこれは正規・非正規一緒です。弊社はマルチタスク方式でいろいろな仕事を兼務しているので、産休・育休で抜けてもみんなでカバーできるところが強みと思っています。基本的には辞めてほしくないので、戻ってくる場所があることをお伝えしていますが、土日にお子さんを預かってくれるところが見つからないといった理由で残念ながらお辞めになった例はあります。旅館・ホテル業は土日がメインですので、そのあたりどうしても融通が利かなくなってしまうところは我々のネックですね。正社員が少ないというのはそういうところもあるのかもしれません。

職場内のハラスメント対策はなさっていますか?

毎年2回開いている全体会議で、必ずハラスメントに関する話はさせていただいていますし、マネージャー級の役員会議でも、必ず言いますね。以前は弊社もパワハラがあったんですが、しっかりと研修をやって、全体会議で必ず話をするようになってから無くなりました。

今後取り組んでみたいことがあれば教えてください

今、キャリアアッププログラムというのを作っています。新入社員から3年目までと、3年目以上と役職という区分で自己評価を行うとともに、面談して会社評価を行う。きちんと自分に課題を与えて取り組んでいるかといったところを見て、若い方にもチャンスを与えてあげたいと思っています。弊社は14の旅館・ホテルがありますので、チーフ、リーダー、サブマネージャー、マネージャーといった役職に就く方が多く必要です。若い女性でも、取組みを評価して役職を与えられる会社だと思っていますので、失敗してもいいのでどんどんいろんな職種にチャレンジしてもらいたいですね。トライ&エラーでチャレンジして会社全体が成長していければと思っています。
また、弊社の女将は、女性が活躍できる会社にするために、取り組んでおりまして、私と一緒にグループを回って、時には優しく、時にはかなり厳しく、その都度接遇などをチェックしています。女将は3人ですが、3人とも女性の教育にはかなり力を入れておりまして、女性従業員の皆さんは、身だしなみ、言葉遣い、相手を思う気持ちなどが良くなって、女性としての魅力も上がりますね。弊社はこれからも仕事だけでなく、女性としての魅力、人間性も向上できる、女性が活躍できる会社を目指してがんばっていきたいと思っています。

  取材:令和3年10月