企業インタビュー
鶴岡市

大和工業株式会社

常に社員を喜ばせようと考えています。
代表取締役社長
五十嵐 冬樹 氏

<会社概要>
〒999-7126 鶴岡市鼠ヶ関字横路295-1
電 話:0235-44-3481
資本金:4,025万円
設 立:1972年6月
社員数:43名(男 6名 女 37名)
    R4.7.21現在

会社の概要や経営方針について教えてください。


業務内容は製造業です。小型モーター用のステーターを造っています。ステーターというと聞き馴染みがないかもしれませんが、モーターの心臓部にあたる一番重要な部分です。昭和51年から造っていますので、今年45年目になります。弊社のステーターがお取引先様でモーターになり、その製品は世界中で使用されています。今は、海外比率が50%近くまで増えています。経営理念である、「大和工業で造られた製品を使用される世界中のお客様、大和工業で働くスタッフ、その全ての幸せを創造する。」を基に、経営をしています。まだ、コロナ禍の最中ですが、昨年は創業以来最高の売上げで驚くほど忙しかったです。それでも不良率2.6ppm(過去最高記録)納期遵守率100%という記録を達成できました。これも、いつも支えてくれるスタッフのおかげだと感謝しています。

会社のロゴマークやホームページに社長さんの思いがこもっていますね。

先代社長である父が、「オンリーワン」という言葉がとても好きで、SMAPさんの「世界に一つだけの花」よりもだいぶ前から、オンリーワンの企業を目指す!という強い思いがありました。私はこの思いを受け継ぎながら、自分の想いも乗せて、「常に相手の要求、想像を一歩超える」、「常に一目置かれる存在」という3つの想いから、ロゴマークを作りました。シンプルですが、想いは海より深いです。

大和工業株式会社のロゴマーク
大和工業株式会社のロゴマーク

ホームページの絵は、Instagramで出逢ったプロの漫画家にお願いしました。想いを伝えると快諾してくれまして、製造業であまり見ないような一風変わったホームページができたと思っています。

 著作権の関係で画像は載せられませんので、
 大和工業(株)さんのホームページでご確認ください。
 https://www.daiwa-111-060401.com/

品質管理にも強い思いを持って取り組んでおられますね。

TQC※1という言葉をお聞きになったことありますか?製造業であれば、多くの企業が実施されていると思いますが、TQCは、トータルクオリティコントロールの略で、簡単に説明しますと会社全員参加型の改善活動です。当時、この活動を始める時は従業員からのボイコットや仕事以外に、なぜそんなことまで?といった反対意見が多く、定着させるまでに相当な苦労があったそうです。でも、品質レベルを上げないとこの先お客様との未来はない!という強い思いで、会社一丸となって取り組みました。
TQCのときは、時間外や土曜日に出勤して勉強や、資料作成をすることもありましたが、今は働き方改革のこともありますので、スタッフになるべく負担をかけないよう形を変えて、改善活動をしています。もう4年ほど経ちますが、今は、DEL※2、私の造語ですが、現場ならではの提案をしてもらっています。36年続いたTQCの形を変える決断は大きなものでしたが、それよりも時代の変化に素早く対応することが重要だと考えました。DELは現場スタッフが困っていることを改善するとともに、私まで届かない声を聞きたいという狙いがあります。「改善活動に終わりはない」、このことを全員に根付かせることができればいいなと思っています。

※1 TQC:企業の中のあらゆる人が参加して進める品質管理、全社的品質管理をいう。
※2 DEL:Daiwa(大和工業)、Education(教育)、Learn(学び)を組み合わせた五十嵐社長の造語。

働きやすい職場環境づくりに向けて取り組んでいることを教えてください。

産休育休を取得した人は全員職場復帰しています。今年度取得予定の人もいて、取得しやすいです。休日出勤の時は、社長がお昼ご飯を差し入れてくれたりします。女性にとって土曜日に弁当を作ってくるのは負担なので、みんなすごく助かっていると思います。
また、去年からの法改正もあり、社内にハラスメント相談窓口を設置するとともに、従業員全員を対象にハラスメントのアンケートを去年初めて実施しました。いろいろな意見が出されて、それがきっかけで改善した事例も数件あるので、毎年続けていこうと思っています。
アンケートで要望があったハラスメントセミナーは、去年全員を対象に講師の方を呼んで行いましたし、私ともう1人は、認定ハラスメント相談員の資格を取得しています。社長はこうした資格取得などに非常に理解があり、社員教育の面も充実していると思います。
パートから正社員に転換した人は、今まで12名ほどいますが、一昨年転換した方は、今管理職のマネージャーをしています。
また、去年から始まった、従業員全員を対象とした社長面談では、いろいろな意見が出されていますし、風通しのよい職場だと思います。
パートさんの就労時間は、8時15分から働く人もいれば、8時半からでもいいし、子どもの送迎などに合わせて、働けるところは非常によいと思っています。時間も6時間の人もいれば、7.5時間の人もいてとても融通が利いて働きやすいと思います。

様々な取り組みに対する社長さんの思いを教えてください。

父はワンマンとは違いますが、見えない大変な部分は人に任せず背負っていたと思います。その影響が大きく59歳で他界しました。私が信頼できる人財を育成することで、その分私は違う仕事ができます。スタッフのレベルアップが会社のレベルアップに直結しますので、研修も「こういうのあるけど、行ってきたらどう?」といった感じで私の方から勧めます。中にはスタッフの方から「この研修に行きたいです。」、「この資格取りたいです。」ということもあるので、向上心の強いスタッフがいることは嬉しい限りです。

健康経営優良法人の認定も受けていますね。

スタッフに安心して働いていただくことは非常に大事なことだと思います。「健康優良法人」も見てくださる方にとって完全なパワーワードですので、会社として「健康」などに関わるもので取得できるものは全て取得したいと考えています。
また、今年の7月から保険も見直しまして、弊社で働くスタッフであれば、正社員、契約社員、パート、嘱託社員、雇用形態に関係なく入院費は会社で持ちます、という保険に入りました。現在、最高齢の現場スタッフは満71歳。安心して長く勤めていただきたいという思いです。福利厚生に関しては、他の企業様のことはわかりませんが、手厚いと思います。

ホームページ内の「先輩の声」では、社員の皆さんが大和工業に入社して良かったとおっしゃっています。

スタッフに、5つのテーマの中から2つ選んで書いてもらったんです。「仕事と育児の両立」について書いた40代の社員は今50代ですが、契約社員、パートさんから正社員になって、今は管理職のマネージャーをしています。

「先輩の声」より抜粋

今後、考えているような取組みがあれば教えてください。

雲を掴むような話ではありますが、給与を下げずに隔週の水曜日をお休みにしたいです。「中小企業にしては多いですね?」と今でも言われますが、休みが増えて困るスタッフはいないと思います(笑)モチベーションも上がりますし、会社の宣伝にもなります。
また、働き方改革の影響ですが、2019年度から月に1回あった土曜日出勤をなくしました。同時期に、残業も1時間まで!と決め、どんなに忙しくても残業は1時間しかしません。それ以前は残業2時間制度でしたが、金曜日の帰宅時など以前よりスタッフの表情が明るくなった気がします。
コンプレックスではないですが、大企業に負けたくない!というのは心のどこかにあるのかもしれません。常にワクワクしたいです。そして、スタッフを少しでも喜ばせることを考えています。欲を言えば感動させたいです。考えて、動くまで全て私がやります。スタッフのみんなには生産してもらった方が効率がいいので。ラーメンのキッチンカーや朝マックの差し入れのほか、アイスは夏の定番になっていますし、寒くなればあじまんを差し入れています。いろいろやっていますが、スタッフみんなの笑顔が私の原動力です。これからも地域に根差したオンリーワンな企業を目指し、大和らしく邁進するのみです。

取材:令和4年7月