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退職時の有給休暇消化の注意点

2024年1月25日

Q.
勤続10年余の正社員です。キャリアアップのため転職を考えていますが、有給休暇日数が多く残っており、円満退職のための有給休暇消化のポイントを教えてください。

A.
有給休暇は、労働者に平等に与えられた権利であり、請求する時期や利用目的については、一切の制限はありません。しかしながら退職を前提とした円満な有休休暇消化をするためには、必要な3つのステップがあります。

  1. 有給休暇の残日数を把握する(このケースの場合最大40日)。
  2. 退職までのスケジュールを会社と共有する。退職日と最終出勤日を会社側と話し合って決定した上で、業務の引継ぎスケジュールと共に有給休暇消化のスケジュールも共有する。
  3. 業務の引継ぎを行う。退職してから社内・取引先等に迷惑を掛けないようにするのが社会人としてのマナーですから、引継ぎマニュアルを作成しておくのが良いでしょう。

有給休暇消化を拒否された時のトラブル対処法として、「引き留め」「引き伸ばし」の場合は、まずは会社の合意が得られるような退職理由と十分な引継ぎ期間があることを再確認します。それでも拒否されるようであれば、より上位の人に訴える事や、労基法第39条違反として労働基準監督署に相談することが可能です。

次に「有給休暇の買取り」については、労基法では原則禁止されていますが、退職時に未消化となっている有給休暇の買取りは例外的に認められています。

また、「ボーナス」は、有給休暇消化中で出勤していなくとも、会社に籍がある以上原則として受け取る権利がありますが、有給休暇消化中であることを理由に減額されることもありますので、就業規則を確認しておいた方が良いでしょう。

「有給休暇消化中の転職活動」は問題ありませんが、転職先で働き始めると二重就労に該当し、現職又は転職先の就業規則に違反している場合もありますので注意が必要です。

「退職後、有給休暇の給与が支払われなかった(つまり無給)」場合は、適正に有給休暇消化の申請を行ったうえでの賃金不払いとして、不足額の請求を書面で行い、それでも応答がない場合は、労働基準監督署へ相談しましょう。