お知らせ

社員紹介制度の導入にあたって

2024年2月27日

Q.
老人介護施設の人事を担当しています。ハローワークを通じて介護員や看護師等を募集していますが、思うように職員を確保できません。職員による紹介制度を導入したいのですが、メリットとデメリット、注意する点を教えてください。

A.
少子化や大学、専門学校等への進学率の上昇、雇用のミスマッチによる離職等により、介護施設において若年層をはじめとする人材の確保は一層難しくなっています。
そのため、ハローワークを通じた求人とともに、事業所が直接職員を採用する努力が求められています。その方法の一つが、在職する職員から友人や知人等を紹介してもらい、採用が決まった場合や、一定期間在籍をした場合に紹介した職員に報奨金等を支払う制度です。「社員紹介制度」や「リファラル採用」と言われることもありますが、業界を問わず人手不足と言われるなか、この制度を導入する事業所が増えています。
主なメリット、デメリットおよび注意点を2つずつ紹介しますので参考にしてください。

○メリット
①採用のコストを削減できる
求人にかかる業務時間、採用にかかる費用が削減できる可能性があります。また、職員への報奨金は、人材紹介サービス事業者に支払う手数料より安く済みます。
②雇用のミスマッチが少ない
在籍する職員自ら友人・知人に紹介することで、会社が求める人材と、求職者が求める職場環境との温度差が縮まり、職場にマッチする人材を確保できるとともに定着率が高くなると考えられます。

○デメリット
①採用しなかった場合、人間関係が悪化する
紹介された人を採用しなかった場合、紹介者との関係が悪化する可能性があります。紹介制度は採用決定ではないことを事前に紹介者に伝えておくことが大切になります。
②職場において仕事とプライベートが混同する可能性がある
友人・知人であるため、職場で仕事とプライベートが混同しやすくなり、職場環境の乱れに繋がります。悪い影響が出そうなときは、職場の配置等を考慮することが必要です。

○注意点
①職員紹介の報奨金は賃金や給与で支給する
紹介者へ募集に対する謝礼として報奨金を支給することは、職業安定法第40条で禁止されています。この方法で報奨金を支給すると法令違反に問われる場合があります。そのため、紹介制度では賃金または給与で支払うことが必要になります。
職業安定法第40条(報酬の供与の禁止)
労働者の募集を行う者は、その被用者で当該労働者の募集に従事するもの又は募集受託者に対し、賃金、給与その他これらに準ずるものを支払う場合、又は第36条第2項の認可に係る報酬を与える場合を除き、報酬を与えてはならない。
②就業規則や賃金規程を整備する
職員紹介制度を導入する場合、就業規則や賃金規程にその内容(報奨金の額、支給期日等)を規定する必要があります。また、この規程は職員に周知することが大切です。

職員紹介制度の導入にあたっては、法令の規制を受ける場合もあることから、社会保険労務士等の専門家と相談しながら検討することをお勧めします。