お知らせ

時間外労働の上限規制に関して

2019年8月1日

Q.     
従業員20名の貨物運送会社の総務担当です。今年の4月から時間外労働に関する規制が厳しくなったと聞きました。また中小企業や自動車運転業務には猶予措置があるとも聞きました。当社はどちらにも該当しているので、しばらくこれまで通りでよいですか。

A.
働き方改革の重要な柱である長時間労働の是正による労働者の健康確保、ワーク・ライフ・バランスの推進に向け、時間外労働の上限に関する法改正が平成31年4月施行されました。
これまでは、時間外労働に関する上限は、厚生労働大臣の告示として定めれていましたが、罰則や強制力がなく、特別条項を設けることで上限なく時間外労働を行わせることが可能となっていました。
今回の改正によって、罰則付きの上限時間が法律に規定され、さらに臨時的な特別な事業がある場合の上限も設けられました。

具体的には以下のとおりです。

Ⅰ.上限規制
①法律上の時間外労働の上限は、原則として「月45時間・年360時間」です。
②臨時的な特別の事情があって労使協定を結んだ場合(特別条項)でも、時間外労働は年720時間を超えることはできません。また、月45時間を超えることができるのは、年6回が限度です。
③時間外労働と休日労働(法定休日における労働)の合計が月100時間未満であること
④時間外労働と休日労働の合計について、「2ヶ月平均」「3ヶ月平均」「4ヶ月平均」「5ヶ月平均」「6ヶ月平均」がすべて1月当たり80時間以内であること。
⑤①から④に違反した場合は、罰則(6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。

Ⅱ.適用猶予措置
①中小企業への猶予措置
Ⅰの上限規制が1年間猶予されて2020年4月1日から適用となります。運輸業の場合は、資本金の額が3億円以下または常時労働者数300人以下のいずれかを満たしていれば中小企業に該当し猶予対象となります。(他業種の取扱いは別途ご確認ください)
②建設事業、自動車運転の業務、医師など特定の事業や業務に関する猶予措置

ご質問にある自動車運転の業務については5年間猶予され、2024年4月1日から、上記Ⅰ-①および②の特別条項付きの場合の時間外労働の上限、年間960時間が適用になります。一方、時間外労働と休日労働の合計に関する、月100時間未満や2~6ヶ月平均80時間以内とする規制ならびに月45時間を超えることができる年6回という限度は適用されないこととなっています。

ただし一点注意が必要です。運送会社=「自動車運転の業務」とみなされるわけではない点です。物品または人を運ぶために自動車を運転することが労働契約上の主たる従事業務となっている者が原則として対象となります。また、労働契約上の明示の有無にかかわらず、実態として当該運転業務の時間が現に労働時間の半分を超えており、かつ年間総労働時間の半分を超えることが見込まれる場合に自動車運転の業務従事者と取り扱われます。

このように部分的に猶予措置はあるものの、きめ細かな労働時間管理が必要となることもあり、実務上どのように対応していくべきか、早め早めの検討と準備をお勧めします。