年5日の年次有給休暇の取得義務化について

2019年5月7日

Q.

20194月より全ての企業において、労働者に年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させる事が義務つけられたと言うが、人手不足に苦労している現在、その狙いと運用について留意すべき点を教えてほしい。

A.

「働き方改革」は、働く人々が個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で選択できるようにするための改革と言われます。我国が直面する生産年齢人口の減少・働く人々のニーズの多様化などの課題に対応するためには、投資や技術革新による生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を発揮できる環境を作ることが必要です。そのため、労働基準法等を改正し、長時間労働の是正をはじめ、取得率の低調が続く年次有給休暇について「年5日の取得」が義務付けられました。

 生産性が低いにも関わらず「休みが取れない」「長時間残業で過労死も起こる」という事では日本は夢も希望も無い国になってしまいます。日本を国際競争力のある魅力的な国に再生していくためにも足元で取り組むべきテーマの一つと考えます。

 その法令解説として、

1..対象者:年次有給休暇が10日以上付与される労働者にて、管理監督者や契約社員、パートタイマーも対象です。

2.時季指定:使用者は労働者ごとに年次有給休暇を付与した日(基準日)から1年以内に5日について取得時季を指定して取得させなければなりません。また、半日単位・時間単位で与えることも可能です。

  時季指定に当たっては、労働者の意見を聴取し、労働者の希望に沿った取得時季になるよう努めなければなりません。時季指定を要しない場合とは、「使用者による時季指定」、「労働者自らの請求・取得」、「計画年休」のいずれかの方法により取得させた年次有給休暇の合計が5日に達した時点が該当します。

3.管理簿:使用者は労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければなりません。労働者名簿・賃金台帳と併せて調整することも可ですがいつでも出力できる仕組みが必要です。

4.就業規則への規定:休暇に関する事項は、就業規則の絶対的記載事項(労基法89条)であるため、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等について、就業規則に記載しなければなりません

5.罰則:5日の年次有給休暇を取得させなかった場合は労基法第397違反、就業規則に記載していない場合は労基法第89条違反として30円以下の罰金が科されることがあります。実務対応として、

①.年次有給休暇を管理しやすくするために
  ・基準日を統一する。
   大企業や新卒一括採用の事業場は年始や年度初めに統一。
   小規模事業場や中途採用を行っている場合は月初などに統一。
②.確実な取得のために
  ・基準日に年次有給休暇取得計画表を作る。
   年度別・四半期別・月別などの期間で個人ごとに計画表を作成し、取得予定を明らかにすることにより、職場内において取得時期の調整が可能。
  ・使用者からの時季指定
   例えば、基準日から半年経過後に請求・取得日数が
5未満の労働者に時季指定を行う
・計画的付与制度を活用する。一斉付与方式・交替制付与方式・個人別付与方式
があげられます。

 

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