お知らせ

能力・業績重視の賃金体系への変更について

2020年9月1日

Q.
「働き方改革」の推進、在宅勤務等が広がる中、いわゆる日本型雇用システム(年功序列・時間管理賃金・一括新卒採用)からジョブ型(職務給、成果給)へと賃金体系が変わりつつあるようです.
当社が成果給に変更する場合、法律上会社が留意すべき事とは何でしょうか。

A.
労働者及び使用者はその合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができます。(労働契約法第8条)

質問の賃金体系への変更を行う場合、労働者にとって労働条件の不利益変更に該当するのではないかということが問題となります。

賃金体系の変更は、労務の対象や決定方法について定めた最も重要な契約要素の変更に当たるので、その変更によって、労働者の既得の権利を奪うことになれば、不利益を受ける労働者との間でトラブルになることがあります。

最高裁は、就業規則変更による労働条件の一方的な不利益変更は、原則として許されないが「高度の必要性」や「合理性」が認められる場合は、個々の労働者の同意を得ることなく労働条件を変更することが可能であるとの判断を示しております。(例:大曲市農協事件/最高裁S63.2.16 農業協同組合の合併に伴って行われた就業規則(退職金規定)の不利益変更が、従業員が被る不利益の程度と就業規則を変更する必要性の程度を主に比較した結果、当該変更は有効とされたもの。)

賃金は、労働条件の最も基本となるものですので、賃金、退職金等の労働者にとって重要な権利、労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす変更については、当該条項が、そのような不利益を労働者に法的に受忍させることを許容できるだけの高度の必要性に基づいた合理的なものである場合に限って、その効力が認められることに留意すべきと言えます。