やまがた子育て・介護応援いきいき企業
第45回 株式会社 山形銀行

従業員数 2015年4月1日現在
行員数(女性449名、男性 890名)スタッフ数(女性683名、男性 76名)

◎「山形いきいき子育て応援企業」登録について

優秀(ダイヤモンド)企業登録 平成27年3月

◎経営理念

「地域とともに成長発展し すべてのお客さまにご満足をいただき 行員に安定と機会を与える」

◎地元に信頼され愛される「やまぎん」

 シンボルマークは「さくらんぼ」。我々山形県民にとって、この身近な存在であるさくらんぼマークを掲げるのは、山形市七日町に本店を置く『株式会社山形銀行』である。山形銀行の歴史は、第八十一国立銀行等の営業満期後の業務継承を目的に「両羽銀行」として、明治29年4月に山形市七日町466番地に創立され、昭和40年4月に行名を「山形銀行」に改称し、今日に至っている。現在の営業店舗数は、県内70ヵ店・県外10ヵ店(2015年4月1日現在)、長きにわたり地域のために寄り添い、銀行経営のみならず、あらゆる場面において山形のリーディングカンパニーとして牽引する企業である。

◎全国初の認定「プラチナくるみん」

 2015年4月、地元で働く県民のまさに手本となる出来事があった。次世代育成支援対策推進法に基づき、行動計画を策定した企業のうち、行動計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業は、「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定(くるみん認定)を受けることができるが、2015年4月1日より、くるみん認定を既に受け、さらに高い水準の取組みを行っている企業を評価した最高クラスの「プラチナくるみん」の認定制度が始まった。その「プラチナくるみん」に、山形銀行が全国で初めて認定された。すなわち、全国に先駆けた“子育て支援の最高企業”というわけである。地元の企業が最高クラスに認定されたことで、身近にお手本があるならと地元企業の意欲向上や子育て支援に取り組むきっかけとなることが期待される。

◎ワークライフバランス推進室の新設

 山形銀行では、2015年4月より、仕事と家庭の両立などワーク・ライフ・バランスの実現と、女性担当職務多様化などの活躍機会の拡大に取り組み、労働生産性向上を図るため、ワーク・ライフ・バランスに取り組む専門の部署として、「ワークライフバランス推進室」を新設した。設立と同時に精力的に活動しているワークライフバランス推進室の取組みについて、「ワークライフバランス推進室の立上げと共に、新たなプロジェクトチームとして“女性ワーキンググループ”を発足しました。メンバーは、使命感が強く、意欲ある幅広い世代の女性達です。ここでは女性が活躍する場や働きやすい環境づくりをメインテーマとして、様々な課題に取り組み、女性の視点で意見交換をしています。それをワークライフバランス推進室が集約し、銀行全体への改善へと繋げていきます。ようやく一歩を踏み出したところですが、意欲あるメンバーと一緒に頑張っていきたいと思います」と副室長の安達さんは話す。

【ワークライフバランス推進室 副室長 安達 愛さん】

◎女性ワーキンググループ始動

部署が新設されて間もない5月、ワークライフバランス推進室が事務局となり開催された「女性ワーキンググループ(第一期)」。メンバーは女性9名で構成される。会議当日は「意識改革」や「仕事と家庭の両立」等を議題に約2時間程、活発な意見交換がなされていた。今後は、半年を一期とし計6期活動していく計画だという。

◎女性ワーキンググループ(第一期)

 入行14年目、現在子育て真っ最中の梅津さんは、まさに仕事と家庭の両立を実現し、頑張っている女性行員のひとり。今回、「女性ワーキンググループ(第一期)」メンバーになった経緯について訊ねると「事務局よりメンバー募集があったのですが、はじめこの募集を聞いた時は、仕事も立て込んでおりましたので、今回の応募は見送ろうと考えていました。そんな時、子どもが風邪で入院し、お客様にアポイントが入っている状況にも関わらず、看病のため3日間休みを頂戴しなくてはならない状況になってしまいました。特に子どもが小さいと母親の負担は多くなりがちです。私は、主人の両親と同居をしているので、家族の協力を得ながら働くことができますが、同じ子育て世代の同僚たちは、急な子どもの病気などで仕事を休まなくてはならないことに悩んでいるのではないか、男女ともにもっと働きやすい環境づくりのために、現場の声として自分の考えをしっかりと出していかなくてはならないのではないか、と子どもの入院先の病院で考え、メンバーに立候補しようと決めました。子育て中の職員の考えや思いを伝えることができる貴重な機会だと感じています」

【上山支店・個人課 梅津 由貴子さん】

◎女性の活躍の躍進~女性を積極的に管理職に登用している企業~

 山形銀行では、2015年4月1日現在、管理職数(役職者数)は、男性が506名、女性が63名である。寒河江中央支店で営業課長を務める長岡真由美さんも「女性ワーキンググループ(第一期)」のメンバーだ。彼女もまた、小学生のお子さんをもつ子育て世代、家庭では母親役と妻役、職場では管理職として日々奮闘している。「職場では、部下が働きやすい環境であるよう日頃から考えています。どうすれば勤務時間内により密度の高い仕事ができるかを考え、さらに、職場のみんなには仕事に対するやりがいや達成感も味わってほしいと思っています。もちろん、子育て世代の行員もおりますので、仕事と家庭の両立をしっかりとできるようにサポートしていきたいと思っています。女性管理職だからといった特別な意識はないですが、部下が私を良い相談役だと思ってくれていればいいですね」向上を目指し様々な面で変革に取り組むという自らの強い思いで「女性ワーキンググループ(第一期)」のメンバーに加わった長岡さん。頼もしいリーダーシップと自身も子育てを経験した女性ならではの部下に対する心配りは、企業の財産のひとつといえるのではないだろうか。

【寒河江中央支店 営業課長 長岡 真由美さん】

◎女性の活躍の躍進~女性の視点を活かした女性行員のみの支店運営~

 東原支店は、統括店である東山形支店と一体運営をしながら、さらにきめ細やかな金融サービスの提供をするため2014年に個人のお客様を主体とした店舗として一新し、行員4名とスタッフ2名の女性のみで運営している支店だ。柔らかな雰囲気を感じることができる店内について、東原支店で女性課長として務める角野良恵さんは、「土地柄、年配のお客様も多く、地域の皆様に寄り添うような明るい挨拶を心がけています。今後も花笠などのイベントに合わせたディスプレイや季節に合った店内展示などもやっていきたいと思っています。また、当支店の特徴として昼の12時~13時の間はATMを除いた窓口業務を一旦閉めさせていただいております。その間は、全員で食事をしながらコミュニケーションを図る場として貴重な時間を過ごしています。これからの目標は、少ない人数の店舗ですが、統括店である東山形支店と互いに協力しながら地域の皆様に必要とされる店舗でありたいと考えています」と話す。

2015年2月のバレンタインイベントの様子。店内をハートの飾りなどでディスプレイし、ご来店のお客様へ自分たちでラッピングしたチョコレートを配布した

◎出産・育児・介護等により退職した女性の再雇用

 山形銀行では、結婚・出産・育児・介護などの理由で退職した方を再雇用する「リ・チャレンジ制度」を2007年5月から導入している。実際に制度を利用して職場復帰をした行員からは、この制度を利用して復帰した理由として「子どもの病気が理由で退職したが、病状も良くなり一頃よりは手がかからなくなったため」「子どもの世話や親の介護、自分の健康など一生を考えると、働ける時期が今だと思った」などの声が寄せられている。
 また、山形銀行では育児休職者の業務スキル維持とスムーズな現場復帰の支援も行っている。ワークライフバランス推進室の安達副室長は「金融商品は、日々進化します。例えば一年間育休等で職場を離れてしまうと、復帰した頃には多くの商品や規程が変わってしまい、慣れるまでに多大な時間がかかってしまうこともあります。そこで、育児休業中も子育てをしながら学習できる自宅学習支援システム「やまぎんホーム・ラーニング」を導入しています。育児休業がブランクではなく、キャリアアップとなればいいですね」と話す。

◎お父さんの育休体験

 全国初の「プラチナくるみん」の認定を受け、なかでも高く評価されたという男性行員の育児休職取得。山形銀行では、育児・介護休業法で定める育児休業の他に、企業独自の育児休職制度として、連続して5日間、有給扱いで育児目的の休暇がもらえる仕組みを作っている。この制度の普及もあり、2014年度の山形銀行における男性の育児休職取得率は54.8%と高い水準にある。一般に、制度があっても利用する者がいない(少ない)と言われる男性の育児休業であるが、山形銀行で多くの制度利用者がでたのは、山形銀行で初めて育児休職を取得した二人の男性行員の体験と意見を踏まえ、行員の意識改革をはじめ、職場での理解などを広める活動を行った銀行全体で取組みの成果であると言えるだろう。

◎当時まだ珍しい育児休職取得のお二人の声

 先陣をきって二人の男性行員が育児休職を取得したのは2008年と2009年。実践した育児体験について当時を振り返ると「おむつ交換、ミルク、お風呂」。その他、育児以外でも買い物や掃除、簡単な料理などの家事において妻をサポートした。妻の反応も上々で「夫が子どもと触れ合う時間に満足した」「夫婦で話す時間も多く取ることができ、子どもの成長についてゆっくりと話すことができた」などうれしい声が聞かれた。

◎2011年から育児休職取得したイクメンの声

 実践した育児について「お風呂、寝かし付け、おむつ交換、ミルク」が多く、その他長男や長女の世話や家事全般など。家族の反応については、育児や家事の軽減から大変喜ばれたようだ。今後、育児休職をする行員へのアドバイスについて「育児休職として目的を明確にして休む事で他の休暇と違い、子育てについて考える時間ができた」「取得者が増えることによって、取得しやすい雰囲気の醸成にも繋がると思う。自分にも家族にも有意義な制度」「女性の社会進出促進のためには、男性の育児参加は大切なテーマ」「理解のある上司が取得を薦めてくださったことがきっかけ。イクメンが増えるにはイクボスの存在が必要」など、行内の広報誌で体験者の声を情報のひとつとして共有し、取得しやすい環境づくりが行われている。

◎ワーク・ライフ・バランスこれからの取り組み

 山形銀行におけるワーク・ライフ・バランスに関するこれからの取組みについて、ワークライフバランス推進室の小林室長は、次のように語る。「山形銀行では、行員およびスタッフが仕事と家庭を両立しながら個々の能力を最大限に発揮できるよう、職場環境の整備およびキャリア支援に取り組んでおります。当行においても、ワーク・ライフ・バランスの推進は長年をかけて取り組んできた課題の一つであり、今年4月には「ワークライフバランス推進室」を新たに設置し、取組みを強化しております。その推進施策の一つとして、全営業店長を対象としたワーク・ライフ・バランスに関する講演会を実施し、企業全体の意識改革も進めております。今後も職員一人ひとりがより一層能力を発揮できる組織風土を醸成し、組織の更なる活性化を図っていくために、働きがいのある職場環境の整備に向けた取組みに努めてまいります」

【ワークライフバランス推進室 室長 小林 洋介さん】

 山形におけるワーク・ライフ・バランスに関するトップランナー企業である山形銀行のこれからの更なる躍進が期待される。

 
2015年9月1日