やまがた子育て・介護応援いきいき企業
第65回 一般財団法人三友堂病院

山形県内での従業員数(2018年10月現在)
従業員:男性152名 女性460名 (合計612名)

一般財団法人三友堂病院は、明治19年の開設以来、130年以上に渡り、米沢市を中心に医療保健業を柱として、地域の中核病院として事業を展開している。予防医療や緩和ケア病棟を持つ総合病院、その医療や介護の後方支援として三友堂リハビリテーションセンター、訪問看護ステーション、通所リハビリテーション、居宅介護支援センター、ヘルパーステーション、さらにサービス付き高齢者向け住宅など、予防から在宅まで医療や介護のサービスを提供している。また、看護師の養成教育機関である看護専門学校や福利厚生施設として院内保育所も整備している。

◎「山形いきいき子育て応援企業」登録について

優秀(ダイヤモンド)企業認定 平成28年10月

◎法人理念

『信頼で融和で築こう良い病院』

◎病院の基本方針

1.三友堂病院は、地域の人々に健康という希望を提供します。
2.三友堂病院職員は、日毎、医療の質の向上をめざし、業務の研鑚を行います。
3.三友堂病院は、職員と共に地域の人々の間に、揺るぎない信頼関係を達成していきます。
4.患者さんの個人情報を含むプライバシーを尊重します。
5.患者さんに公平、適性な医療を行い、高齢者への分かりやすい説明と医療を提供します。
6.診察にあたり、医師による十分な説明と患者さんの選択に基づく医療を提供いたします。

◎当病院が目指す役割と機能

三友堂病院は、当地域の中核病院として急性期医療を担います。
急性期病院とは、急性疾患及び慢性疾患の急性増悪の治療あるいは根治を目的とした医療を行う病院を言います。

◎地域とのつながりを大切に

三友堂病院では、医療や介護のサービスの提供はもちろんだが、日ごろから地域との交流にも積極的に取り組んでいる。
「地域への出前講座や中高生の就労体験などを通して、当法人を少しでも身近に感じてもらえることが私共の社会的使命の一つであるものと考えています。今後の展望としては、米沢市立病院さんと連携して、地域医療の一旦を担うべく、平成35年度に新病院開院を目指しているところです」と話すのは法人本部人事企画課長の髙橋大輔さん。

【病院を会場に年に一度開催される「いきいき健康フォーラム」】

◎男女ともに働きやすい職場を目指して

職員の約7割が女性で、かつ看護師が多くを占めている職場で、看護師は土日や夜間の仕事もあるため、出産や子育て、今後介護などによるライフスタイルの変化による離職が長年の課題の一つだった。
「離職を減らし、長く勤務し続けてもらうことを目的として、平成20年に「短時間正職員制度」を他に先駆けて導入しました。それから、院内保育所の整備や、一部の部署では、フレックスタイム制を導入するなど、柔軟な働き方を提供しています。」(法人本部人事企画課長 髙橋大輔さん)
最近では、男性職員に育児休業を取得してもらえるように働きかけをしたところ、昨年度から7名の取得があった。

【一般財団法人三友堂病院 法人本部人事企画課長 髙橋 大輔さん】

◎一人一人のライフステージに合った働き方を提案

看護部長の高橋啓子さんは、30年以上のキャリアを持ち、三友堂病院で働く看護師全体の管理や病院内に設置されているワーク・ライフ・バランス委員会の委員長も務めている。
「当法人は若いスタッフが多く、結婚し出産した後も、看護師を続けてもらえるように様々な取組みを行なっています。まず、短時間正職員制度や育児介護短時間職員制度は、正職員のまま、週4日で8時間勤務や週5日で6時間勤務といった希望に沿った働き方を選択できる制度です。また、産休や育児休暇を取得した職員は、その期間中、職場に来る機会がなかなかないものですから、復帰後の働き方に関するお話や休暇中の困りごとなどを、気軽に話をしたり相談できる『ママ友カフェ』を開催しています。産休・育休取得者を対象に期間中2回程度お子さん連れで来て頂いています。」
法人の各部署の代表者で組織される「ワーク・ライフ・バランス委員会」では、定期的に職員満足度調査行っている。それらの調査結果から、院内保育や夜間・土曜日の保育の要望が多ったため、平成26年10月に院内保育所を開設した。
「家庭環境や家族の理解が得られているかなど、一人一人状況が違いますので、年2回ほど上司がスタッフと面談をして、ライフスタイルに合った働き方ができるようにしています。看護師は専門職ですから、一度退職してしまった方も、パートからのスタートも可能です。ぜひキャリアを閉ざすことなく続けていってほしいですね。」

【三友堂病院 看護部長 高橋啓子さん】

◎「やりがい」の見える化が今後の課題

三友堂病院は女性の割合が7割を超えている。それをマネジメントする管理職や役職者も当然のことながら女性が多い。
「今後の展望としては、こんな役職者や管理者であったら目指したいといったモデルの育成が必要であると感じています。そもそも病院というのは専門職が多い職場ですので、管理職という業務にいかに目を向けさせていくかというのが課題ですし、登用後に時間の経過とともに訪れるであろう環境の変化に対応できるような「やりがい支援」を今後しかけられたらいいのかなと考えております」(看護部長 高橋啓子さん)

◎プライベートを大切にしながら仕事ができる職場環境づくり

勤続25年。2人の子育てを経て、病棟をとりまとめる師長として3年目の河合美奈子さん。
「内科病棟を経て、リハビリテーションセンターに勤務しているときに娘2人を出産。核家族でしたので、2人目出産後は夜勤のない部署に異動させていただきました。子ども達の手も離れてきた昨年、HCU(集中治療室)の看護師長になり現在に至っています。HCUは重症の患者さんが非常に多いので、患者様の不安な気持ちに耳を傾けたり、緊急時の受入れが可能なように一般病棟の師長と調整を図るのも私の仕事です。また、育児時短(育児短時間正職員制度利用)の看護師と若いスタッフが平等にプライベートを大切にしながら仕事ができるよう、職場環境づくりを行なっているところです。育児時短のスタッフは、時間通りに業務を終わらせることが大事なので、スタッフ間での応援体制や声がけが大切だと思います。私自身、子育てしながら働いてきた経験上、スタッフの気持ちもわかるので、周りで支えてくれる人への感謝の気持ちを忘れないで、ずっと働き続けていってほしいと思います。」

【スタッフとのコミュニケーションも大切にする病棟師長の河合美奈子さん(右)】

◎「短時間正職員制度」で、子育ても仕事も充実

現在、消化器外科内科病棟に所属し、勤続9年になる髙橋奈奈恵さん。
「先輩が育児のため短時間勤務をしている姿を見て、こういう働き方もあるんだなとイメージがありました。今は子どもも小さいですし、職場復帰後も夜勤は難しい状況です。短時間正職員制度を利用することで、フルタイム勤務に比べて気持ちにゆとりを持って子どもに接することができますし、仕事にも集中することができてバランスが取れるようになっています。実際に勤務時間の変更やお休みにも対応していただき、周りの協力を得ながら勤務することができています。この制度がなければ、仕事を続けるのは難しかったです。」

【三友堂病院 髙橋奈奈恵さん】
 
2019年1月4日