やまがた子育て・介護応援いきいき企業
第71回 日東ベスト株式会社

従業員数(2019年10月現在)
女性1,001名 男性743名 (合計1,744名)※パートタイマー等含む

◎どんな会社か
農産缶詰の製造を目的として、昭和12年に神奈川県横浜市に創業した日東食品株式会社が前身。
昭和23年に、さくらんぼなどの果物の産地である寒河江市に農産缶詰の製造工場として誘致され、日東食品製造株式会社として設立した。平成6年に日東ベスト株式会社と社名変更。山形発の総合食品メーカーとして国内外に拠点を持ち、業務用の冷凍食品、日配食品、缶詰、袋詰、ハムやソーセージ等のチルド、レトルト食品の製造販売を行っている。

◎「やまがた子育て・介護応援いきいき企業」認定について
優秀(ダイヤモンド)企業認定 令和元年11月(第4期目)

◎企業理念
食品産業の分野において社会に広く貢献し、永続と繁栄を求め、関連するすべての人の理想を実現する。設立から70年間培われてきたアットホームな企業風土と地域との関わりを大切に、これからも食生活に「感動」を与える企業を目指していく。

◎女性のための職場環境づくりを実践してきた先駆的企業
独自の取り組みとして平成5年から65歳定年制度を導入するなど、男女ともに働きやすい職場づくりを早い段階から実践している日東ベスト。その背景には、果物の収穫時期に合わせて地域の女性たちに缶詰加工の手伝いを依頼していたという設立当初からの歴史がある。冷凍食品の製造が8割を占める現在も従業員の6割が女性。生産現場においては約7割が女性ということから、育児休業制度をはじめとする制度の整備や企業内保育所の導入が自然の流れの中で進められてきた。取締役で総務人事部長の遠藤雅明さんは、「創業者の考えの中に『従業員は宝』であり、女性も長く勤められるような職場環境をつくっていかなければならないという思いがありました」と当時を振り返る。

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【取締役 総務人事部長 遠藤雅明さん】

◎女性管理職のロールモデルがいる環境の中で働く安心感
同社では、女性の管理職比率は7%を超える。冷凍弁当を企画する試作開発部課長の山科恵美さんは、2016年から管理職として「盛り付け班」のチームをまとめている。業務内容は、体の状態に対応した冷凍弁当の開発。生活習慣病予備軍向け、カロリーを気にしている人向け、腎臓が弱い人向け、咀嚼が難しい高齢者向けなどの開発を手がける。管理栄養士の資格を持つ女性が配属されることが多かったため、部員の7割が女性だ。最近は男性の管理栄養士も増え、男女それぞれの視点でアイデアを出し合いながら業務に取り組んでいる。
「試作開発部には管理職が6人いますが、そのうち女性は部長を筆頭に3人。そうした職場環境もあり、管理職という話を頂いた時に立場に対しての抵抗はありませんでした。夫も当社の別の部署で管理職をしていること、子どもも大学進学のため離れて暮らしていたので家庭との両立に対する心配もなかったですが、唯一、自分に務まるだろうかということだけが不安でした。それまでは現場で自ら動いて指示する立場だったので、最初のうちは人に任せることがうまくできなかったですね」と、山科さん。

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【試作開発部課長 山科恵美さん】

「これからは女性管理職がもっと増えてくるでしょう。立場が人をつくると言いますが、これまでと違う見方ができるようになり、仕事に対するやりがいや面白みもより感じられるようになると思います。長く勤められる職場環境の中で、特別な役職だと思わずにチャレンジしてほしいです」と、山科さんは後輩たちにエールをおくった。

◎社内保育所や時短勤務で、復帰後のサポートも万全
入社8年目になる研究部食品研究課の内田彩さんは、1年間の育児休業制度を活用して2か月前に復帰したばかり。日東ベストは1999年に、仕事と育児・介護とが両立できるように様々な制度を持ち、多様で柔軟な働き方を従業員が選択できる取り組みを行う「ファミリー・フレンドリー企業」として国から表彰を受けている。その取り組みの一つが社内保育所の運営(本社と東根工場の2か所)。本社の保育所は昭和44年に発足した。当時、多くの女性が子育てで辞めてしまう状況と、季節パートとして依頼する場合も小さい子どもがいると働けないという背景があり、働ける環境を確保するための方策として託児所を置いた経緯がある。満1歳から就学前まで預けることが可能なので、内田さんも預け先の心配をすることなく復帰できた。
同社では、最長3歳到達まで育児休業の延長が可能。復帰後も以前と同じ部署で食品加工の技術開発に関わる内田さんは、生活に慣れるまで2時間の育児短時間勤務制度も活用している。この制度は30分単位でフレキシブルに取得することができる。
また、育児を理由に退職した場合、離職した年数が10年未満であれば再雇用を受けられる制度もあり、各々の状況に応じた働き方を選択できる。とはいえ、復帰後は子どもの発熱などでこれまで通りに仕事ができないことも増える。「もどかしい思いをすることもありますが、周りに子育てを経験している同僚がたくさんいるのでアドバイスをもらったりしながら、社内の支援制度を有効に使って乗り越えています。夫も同じ会社に勤めているので、お互いに日程調整をしながら協力し合っています」と内田さんは話す。

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【研究部食品研究課 内田 彩さん】

◎女性が働きやすい職場は、男性にとっても働きやすい
総務人事部人事課の堀野裕之さんは、育児休業制度を取得した男性社員のひとり。妻と5歳と3歳の子どもとの4人暮らしの堀野さんは、これまで2回制度を利用している。取得に至った経緯を伺った。
「4年前と昨年と2回、いずれも5日間休みを取りました。昨年取得したのは、妻が仕事の関係で県外に研修に行くことになったためです。あらためて、日頃、妻にかかる家事の負担が多いことを感じ、自分自身のことを考えるきっかけにもなりました。子育ての楽しさも実感できましたね」
女性が働きやすい社風は、男性にとっても休みを取ることに抵抗が少なく、働きやすい。“お互いさま”の雰囲気のある環境や従業員同士のサポート体制があればこそだ。

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【総務人事部人事課係長 堀野裕之さん】

日東ベストでは、育児休業制度、育児短時間勤務制度の他に、男性従業員は妻の出産時に5日間の特別休暇の取得が可能となる制度を設けている。また、有給休暇に関しては最大20日間支給の中で2年間に消化できなかった分については積み立てができる。例えば、勤続年数の長い人が2年間有給休暇を取得できなかった場合、60日のリフレッシュ休暇を加えると100日間休みが取れることになる。2019年4月から、本社と営業担当部署で働き方改革プロジェクトを組み、ノー残業デーについても積極的に取り組んでいる。

◎地域に根差し、人づくりにも力をいれる
「今後、生産労働者が減少していく中で、AIやIOTへの移行はどんどん進んでいくと思います。しかしながら、人と人との連携の中で信頼を持って活動することは不変であると考えています。これからも地域に根差した企業風土を大切に、人づくりに力をいれていきたいと思っています」(遠藤総務人事部長)
毎年11月3日に開催される文化祭には、多くの地域の人たちが訪れ、地域の風物詩にもなっている。また、企業として「寒河江まつり」に参加するなど、地元の人とのつながりや地域への感謝をベースに、今後も地元の経済発展にも寄与し続ける。

 
2020年1月6日
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