やまがた子育て・介護応援いきいき企業
第36回 モガミフーズ株式会社

従業員数 427名 (女性309名 男性118名)平成26年1月現在

◎「山形いきいき子育て応援企業」登録について

 登録日 平成25年9月30日

<山形の“土壌”に関心>
 モガミフーズは日本水産(ニッスイ)のグループ会社。お弁当でもおなじみの、自然解凍のおかずを中心に、調理冷凍食品の製造を手がける。自然解凍和惣菜カテゴリーではシェア60%を誇り、日本で初めて自然解凍品の開発・製造を行ったのも同社である。お話を伺った長田さんは「山形いきいき子育て応援企業」はもとより、労働局による次世代支援対策推進法に基づく認定(「くるみんマーク」取得)における中心人物であり、4年ほど前に日本水産から出向、取締役業務部長に就任した。「日本水産の管理部門から出向してきたので、まずは女性が多い職場であることに違いを感じました。そして、育児休業が当たり前のように活用されていました。三世代同居率が日本一の山形県ですから、言ってみれば家庭内に保育園があるようなもの。これは東京では考えられないことです。すごくいいな、素敵な土壌だな、そう実感しました」

<わくわく社員を増殖させたい!>
 そんな長田さんが提唱し現在進めているのが、組織活性化活動である「わくわく社員増殖大作戦」の展開である。わくわく楽しく仕事をしようというもので、働きやすい職場、ひいては働きがいのある職場にしたいという強い思いが出発点。増殖という言葉にも思いがあり、「ひとりが気づいてわくわく社員になり、そのわくわく菌が伝播してほしい。少しずつでいいから、最終的に蔓延してくれれば」。具体的には、笑顔であいさつ、感謝、思いやり。この3つの基本行動の励行にあるが、これらはすべて「心の報酬に繋がるものです」とは長田さん。「心の報酬は、誰にでも与えられる、与え合うことができるもの。まずはここから、職場を活気(元気)づけていこうということです」
 まだまだ発展途上ということだが、この「わくわく度」の確認として行われているのが従業員満足度調査である。60問以上にもわたる設問のなかに、ちょっとハッとさせられる項目があった。「朝起きたら、会社に行きたいと思いますか」、「モガミフーズに入社したいという人がいたら、薦めますか」である。「わくわく働いているか、わくわくできる職場か、みんながどう感じているか、この数字は追いかけていきたいですね」と長田さんは言う。

「わくわく社員増殖大作戦」について張り出されたボード

<50周年に向けて>
 同社は2年後に設立50周年を迎える。「ひとつの節目として、なにか誇れるものを従業員みんなに実感してほしいと思っています」。漠然とした目標ではあると謙遜する長田さんだが、自分の仕事に誇りが持てて、自分自身の成長を実感できる職場、すなわち働きがいのある職場。これを従業員が実感できたとしたら、それは紛れもなく50周年をより輝かせ、次の50年への大きなステップになるだろう。
 最後に、先の「わくわく社員増殖大作戦」で、ユニークな取組みを紹介したい。「赤川サミット」は、社長(赤川さん)と従業員がコミュニケーションをとるための施策。5~6名単位で社長と車座で対話を行うというもので、仕事からプライベートまで話題も豊富、社長の人柄を知るいい機会にもなっている。社長とも何でも話せる風通しのいい会社を目指している。「ありがとうカード」は、日常の感謝の気持ちをカードに記入して張り出すもので、恥ずかしければ匿名でもいいので、とにかく感謝の気持ちを表そうという取組みだ。「桜満開プロジェクト」は、模造紙に描かれた桜の木に、さまざまなコメントを書いた花を貼っていくというもの。自己紹介の木、感謝の木、趣味の木などテーマは多岐にわたり、仕事が終わったら花(コメント)を見ながらお茶を飲み、花見をしましょうという従業員間のコミュニケーションを促す狙いがある。

◎取組み:女性の活躍推進

・ 役職(係長、主任、リーダー等を含む)のうち、女性が25%以上在籍している。

● 成果
・ 役職101人中、57人が女性。もとから7割弱が女性という職場であったことも大きいが、手詰めの充填など手作業が多い業務であることからも「女性が活躍できる職場ですから」とは長田さん。従業員の入れ替わりはあっても、男女の比率もほぼ変わることはないという。

◎取組み:仕事と生活の両立支援

・ 育児・介護休業法で定める介護休業制度を7日以上取得した正社員がいる(過去5か年間)。

● 成果
・ H24年度に3ヶ月間、介護休業を取得した従業員がいる。育児休業もそうだが、理由が明確な分、申請することに抵抗感が少ないのではないかと分析している。会社側も、申請があればしっかり対応している。
・ ワークライフバランス推進のための仕事効率化の取組みとして「時短実践ビデオ」を社員全員で鑑賞し、その後フォローアップもしている。時短を実践することによるメリットや、推進にあたってのポイントなどを各自で考え、情報を共有。これをスタートととして、各職場でのノー残業デーへの取組みも始まった。

◎ 取組み:男女がともに働きやすい職場づくり

・ ノー残業デーの実施など、所定外労働時間削減のための制度を導入している。
・ 有給休暇取得率が向上している。
・ 正社員転換制度を導入している
・ 業務内容、異動、能力開発(自己啓発)などについて従業員の希望を積極的に聞く制度を整備している。
・ セクシャルハラスメント、パワーハラスメント対策のため、相談窓口を配置し従業員に周知している。

● 成果
・ ノー残業デーについては、平成23年から、週1回の「ノー残業デー」を設定。進捗状況を把握、管理している。週に1回は実践しようと取り組んでいるが、職場によって達成率にばらつきがある。仕事のシェアができる現場と、それが難しい部署間で差があるのが現状というのである。とはいえ、労働時間推移表を作成し管理を行った結果、残業時間の平均は平成23年は18.52hだったものが、平成24年には11.78hまで短縮された。これらの結果は、なぜ長時間労働になるのかを見極める材料としても生かされている。仕事の与え方に問題があるのか、本人の能
 力に問題があるのかということである。
・ 有給休暇については、平成22年44%、平成23年61.7%、平成24年68.9%と、取得率が年々増えている。確実に取得しやすくなったことが実感される数字である。最終的には計画的な付与ができるようになれば理想という考えのもと、従業員への周知を行っている。同時に、特定の人間に仕事が集中し、結果、その人だけが休みを取りにくくなるという状況はなくしていかないといけない。
・ 正社員転換制度については、契約社員の正社員への転換制度を就業規則に定めているほか、「チャレンジ制度」として、活用を契約社員に呼びかけている。この制度は、能力と成果によってステップアップができるというもので、平成24年には新リーダーに2人、契約社員に1人、正社員に2人がこの制度でステップアップを果たした。
・ 正社員全員がキャリアシートを記入し、担当業務の適性判断や将来のキャリアプランを立てると同時に、異動希
 望などについても記入し、経営者が把握して異動時に内容を反映させている。また、上司がそのキャリアシートに意見やアドバイスを記入している。年に1度実施されるもので、自分の将来をイメージして、今なにをするべきかを考えてもらうきっかけにしている。働くことで成長実感を得てもらう、そんな機会としても利用しているという。また、上司は部下の人生に責任を持つ、そんな気概を持ってアドバイスを行うよう指導している。
・ 平成22年7月1日に、セクハラ・パワハラ防止規定を制定した。言葉遣いがきついなどの問題もあったため、コンプライアンス強化月間を設けて、毎年1月と2月に掲示板を利用した啓蒙活動を行っている。その際、セクハラとパワハラに加え、ルールを守ろうというテーマも掲げ、アンケート調査も実施。「正しい仕事をしていますか?」という設問を設け、おかしいと思っていることを書き出してもらい、倫理観のある秩序ある職場づくりに役立てている。
・ 次世代育成法による一般事業主行動計画を策定、周知、公表し、労働局の認定を受けている(くるみんマーク取得)。

◎ 取組み:県民の子育て支援・若者応援・地域貢献

・ 県の若者事業に従業員が参加
・ 地域貢献活動の実施、または、地域貢献活動への従業員の参加支援

● 成果
・ 県の若者活動支援事業(安定雇用促進事業)に参加し、7名の若者を採用した。職場の新陳代謝を図るうえでも期待感を持って実施。現場の若返りを図り、現在、7名の若者のうち1名がリーダーとして現場で活躍している。職場も活気づき、狙いどおりだという。
・ 年1回、社会貢献活動(ボランティア)を実施している。工場周辺の清掃活動では、より多くの参加者を募るため、芋煮会などのイベントとの組み合わせも行っている。
・ 河北中学のインターンシップを毎年、受け入れしている。

 
2014年3月3日