やまがた子育て・介護応援いきいき企業
第32回 東ソー・クォーツ株式会社

従業員 308名(男性 272名、女性 36名)平成25年6月現在

<企業理念>
 東北から世界へ、そして未来へ向けて進化する

<基本方針>
 品質、環境、そして労働安全衛生のマネジメントシステムを実践し、会社のクオリティ、従業員のクオリティ、製品のクオリティを継続的に進化・向上させることで「企業理念」を実現する。

◎「山形いきいき子育て応援企業」登録について

平成23年12月26日登録

<登録までの経緯>
 企業理念にもあるとおり、東北から世界へ。「とても大きいことなのだけれど、それを実現するのは従業員一人ひとり。個々のレベルを高めて、お互いに信頼関係を築いて、そこで初めて実現できる。まさしく企業は人なり、なんです」と椿原さん。いかに企業が人を育て、技能技術を伝承していくか。そしてその能力を思い切り発揮してもらうための環境を作っていくか。その大きな取り組みのなかのひとつの施策が、「山形いきいき子育て応援企業」の登録内容というわけである。

 ここ10年くらいの動きとして、新規、中途ともに採用における男女比に変化が見られている。社会の情勢、会社の状況も絡んでくる話ではあるが、女性の比率が高まっているのである。これについては、「職人技のような現場も多いなか、男女という区切りではなくみんなの職域を広げていこうと取り組んでいます。結果、以前に比べれば、さまざまな部署に女性が進出している状況です」。その根底には、いわゆる定年の高年齢化の動きも受け、一人ひとりの多能工化を進めている状況もある。「今は過渡期というか、状況を見極めている段階でもあります。これから本当に女性の比率が増えていったとき上手く回せるのか。新たに見えてくる点というものが、良くも悪くもあるはずなのです。そこは検討課題でしょう。」

 インタビューの最後に印象的な言葉をいただいた。大都市に比べ、地方における女性の労働環境はまだまだ整っていない状況を前置きしたうえで「女性が安心して働ける会社というのは、ひとつの理想なのではないでしょうか。将来子どもが、親の会社に入りたいと思い、親は自信を持ってそれを勧められる、そういう会社でありたいですね。」

取締役管理本部長 椿原康史さん

◎取組み:女性の能力活用

・ 役職や管理職への登用を行っている。(女性社員36名中、役職1名、管理職1名)
・ 製造部門への女性社員採用
・ スキルアップ講習会や説明会への参加
・ 嘱託職員から正規社員への登用(今年7名中女性1名登用)
・ 個別の面談を年2回行いモチベーションの維持を高めている。

●成果
・ 現在、1名の女性管理職が活躍中。品質管理の業務にあたり、海外も含め渉外を担当する。ちなみに取材時にはイギリスに出張中だった。技術的な話ができることもちろんだが、立場的には顧客と製造部門の間に入るかたちになるため、コミュニケーション能力も求められる。さまざまな気配り、目配りができないと、ことがうまく運ばないこともあるわけだ。ひとつひとつの事柄をきちんと片づけながら進めるスタイルは双方から好評であり、このあたりが「女性ならでは」と感じているとのことだった。女性の職域は現在も拡大中である。
・ 再雇用とは別に、派遣から嘱託、そして正規雇用という流れがある。というのも、約20年前からの10年間くらい新卒者の採用を見送っていた時期があり、穴の空いた人員構成となってしまっているため、そこを補完するため、中途採用が行われている。
・ 個別面談は社員全員、育成面談として行われている。年に2回、半期ごとに業務目標に対する成果の確認や評価に対するフィードバックを行うとともに、たとえば親の介護であったり家族計画であったり、そのあたりまで聞き取りを行い、相互理解の一助としている。

◎取組み:仕事と家庭の両立支援

・ 就業規則の改訂で、育児・介護休業等規定を充実させた。(2011年1月1日改訂)

●成果
・ 法令が変われば、当然それに沿ったかたちで見直しをしていくが、法令は最低ラインという考えを持っている。休業の規定などについては、会社の状況も加味しながら、どれだけ上乗せできるかを検討。
  できることがあれば、可能な限り充実させていきたいという姿勢である。

◎取組み:男女がともに働きやすい職場づくり

・ 社内の理解と協力を得る為、社員説明会を行った。(2011年2月実施)
・ 社員へのアンケート調査を行った(回答率62.1%)
・ 両立支援のひろばに行動計画を掲示
・ 休業取得による部署内の勤務体制見直し等
・ 部署により日・夜勤務の見直し・変更等の環境整備
・ 仕事内容の1人集中を分散させ、他の社員への教育・協力体制整備

●成果
・ 説明会については、月に一度の全体会議の場で実施。事前に休業制度についてアンケート調査を実施し、その結果も紹介しながら行われた。会社としては、制度を作って、周知して、それでいいというものではなく、活用してもらえることが重要。そのためには日常的なコミュニケーションを通したお互いの理解と信頼関係が大切であると考えている。みんなが同じ意識を持ち、同じベクトルを共有できるように努めている。その施策のひとつがこの説明会であり、日々の階層別教育にも同じ目的が持たされている。
・ 年次休暇については、1日、半日に加え、新たに1/4日という単位を導入。取得回収も20回に増やし、より利用しやすく、内容も実勢に即したものとした。
  休業取得者がでた場合を想定し、職場のローテーションも含め、バックアップの体制を構築している。

休業制度の資料は、食堂スペースの一角に常設展示コーナーがある。

◎県民の子育て支援

・ 商工会主催のジュニアインターンシップを行った、(学生3名受入)
・ 山形工業高校ジュニアインターンシップを行った。(学生2名受入)

●成果
・ 次世代育成の観点からも、インターンシップは積極的に受け入れるほか、工場見学にも対応。ただ、火を使う工場であることから、安全確保のため小学生は受け入れしにくい現状がある。地域貢献を考えたとき、将来をリアルに意識し始める時期にある高校生に職場体験をしてもらう場を提供することは、企業としてのひとつの使命であると考えている。

 
2013年5月1日
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