女性15名 男性28名(合計43名)
日本政策金融公庫(略称:日本公庫)は、平成20年に、4つの政府系金融機関が統合して発足した政策金融機関であり、全国に152の支店を構える。
日本公庫は、一般の金融機関が行う金融を補完することを旨としつつ、国民生活向上に寄与することを目的とする。
◎「山形いきいき子育て応援企業」登録・認定について
優秀(ダイヤモンド)企業認定 平成25年11月30日
◎企業理念
・政策金融の的確な実施
国の政策の下、民間金融機関の補完を旨としつつ、社会のニーズに対応して、種々の手法により、政策金融を機動的に実施する。
・ガバナンスの重視
高度なガバナンスを求め、透明性の高い効率的な事業運営に努めるとともに、国民に対する説明責任を果たす。さらに、継続的な自己改革に取り組む自律的な組織を目指す。
◎日本政策金融公庫の事業内容
日本公庫は、小企業及び創業企業向けの融資を行う「国民生活事業」、農林水産業者向けの融資を行う「農林水産事業」、中小企業向けの融資を行う「中小企業事業」の3事業の専門性を生かし、日本経済の発展に貢献している。
また、地場産業の活性化や街づくり、農業の6次産業化など、地域が抱えるさまざまな課題に対して、地方公共団体や民間金融機関等と連携しながら、3事業の総合力を生かした支援を行っている。
山形支店中小企業事業の総括課長を務める岡 伸一さんは、東日本大震災時、福島支店に所属していた。被災や避難で経営が困難になった企業に寄り添い、様々な相談を受け対応したことで公庫の存在意義や経営支援の重要性を改めて実感したと語る。
「震災による混乱の中、ある企業の社長様から事業をやめたいと相談を受けました。私は、『公庫は応援するので、あきらめず事業を再開しましょう。』と励ましました。その後、社長様や従業員の方々の努力もあり、順調な経営を続けています。当公庫の一番の役割は『お客様の相談に乗り、課題解決のお手伝いをすること』だと改めて感じました。
山形に来て3年目になりますが、山形には『自然の豊かさ』『おいしい食物』『溶け込みやすい地域性』等、すばらしいところがたくさんあります。これからも山形県の良い所や各企業の強みを県外あるいは海外に発信し、県の発展に貢献したいと思っています。」
◎女性の働き方を独自に追究する「女性活躍地域委員会」
全国組織の日本政策金融公庫では、本店(東京)に「女性活躍・職場環境向上推進室」が設置され、①女性のキャリア開発、②ワークライフ・マネジメント支援、③職員による積極的な活動推進の3つの取組みを柱に、女性職員が能力を最大限に発揮して活躍できる職場づくりを推進している。また、全国の10支店に「女性活躍推進委員会」が設置されており、東北では仙台支店に設置されている。その仙台支店の「女性活躍推進委員会」と連携しているのが山形支店の「女性活躍地域委員会(PT)」だ。(委員長:内田支店長、リーダー:残間職員)
PTは、主に「女性活躍推進活動計画」を毎年作成し、その計画を遂行するための活動に取り組んでいる。月1回の会議では、女性が活躍する企業の取組み事例の情報を共有し、支店内でどのように職場環境を整えていくか等を協議してきた。
「PTでは、昨年度まで内部の体制を整えることを主体に活動してきましたが、今年度からは外部に目を向けて、『民間企業や地方公共団体等とも積極的に連携し、地域における女性活躍推進に貢献すること』を重点テーマにしました。実際の取組みとしては、山形県と連携して意見交換会を実施したり、働き方改革の情報交換会に参加して当公庫の取組みを紹介したり、他社の取組みを学んだりもしています。意見交換会では、『色々な機関の女性活躍促進施策のメリットが各企業に伝わっていないケースがある』という意見もあったので、県等と連携して色々な制度の普及活動に努めたいと思っています。」(岡 総括課長)
◎協調融資商品「<荘銀>女性活躍企業応援融資『WiLL plus』」をスタート
平成29年10月にスタートした「<荘銀>女性活躍企業応援融資『WiLL plus』」は、荘内銀行、日本政策金融公庫、山形県、山形労働局が連携した融資商品だ。特徴は、融資対象者の幅を広げ、「女性活躍に積極的な企業」には金利面でもメリットを与えていること。融資対象者は、女性の雇用や管理職登用に積極的な事業者や、県の「山形いきいき子育て応援企業」、労働局の「くるみん」「えるぼし」に認定されている企業等、女性の活躍を推進する企業が対象となる。
「日本公庫では、平成27年2月から県の『山形いきいき子育て応援企業』登録・認定先に対する特別融資制度を創設し、融資面で支援を行うとともに、県主催のセミナーへの協力等もしてきました。しかし、県内3支店の日本公庫だけでは限界もあるため、県内で唯一『えるぼし』認定企業である荘内銀行様と連携し、同商品を推進していくことで、県や労働局の認定制度を周知することに繋げていきたいです。さらに、今後は他の金融機関とも連携していきたいと思います。
将来的に人口減少が懸念される今、女性が活躍でき、社員がいきいきと働くことのできる職場づくりが、生産性の向上や企業の発展につながっていきます。県や労働局の取組みや認定制度を活用していただけるよう情報提供しながら、地域企業を応援していきます。」(岡 総括課長)
■<荘銀>女性活躍企業応援融資『WiLL plus』
https://www.shonai.co.jp/information/newsrelease/2017/20171011/index.pdf
◎事務職から業務職へ 雇用転換でキャリアアップ
山形県は、女性の就業率は高いが管理職になる女性は全国的にも少ない傾向にある。日本政策金融公庫に相談に来る経営者からは、『背中を押しても躊躇してしまう女性が多い』という声もあるという。その課題の解決のためには、安心してキャリアアップができる職場の環境づくりや女性自身の意識改革、周囲の社員の理解やサポートが必要というのが数多くの企業を見てきた岡総括課長の見解だ。
山形支店も例外ではなく、女性が働きやすい職場づくりを目指すとともに、キャリアアップができる職場環境づくりに向けた取組みも行っている。
山形支店初となる「事務職から業務職への雇用転換」により、業務職への道を歩んでいる後藤 千世さんは、勤続13年のベテラン社員。3年間の業務職育成制度に取り組み始め、今年で最終年を迎える。現在は各企業の自己査定や担保査定、契約手続き等、営業担当者(総合職)のサポートをしている。
「業務職を目指そうとしたきっかけは上司から勧められたことでしたが、身近な事例がなかったので迷いがありました。しかし、夫に相談したところ『挑戦してみたら』と応援してもらえたので、やってみようと思えるようになりました。
事務職は、どちらかと言えば『受け身』の業務内容が多かったのですが、業務職は自律性、自主性とともに判断力が求められるので、仕事を進める上での難しさがあります。業務職の業務に対応できるよう、課長や総合職の方の指導を受けながら様々なジャンルの業務を経験させてもらっています。また、研修で得た専門的な知識が業務に活かされた時は、とても嬉しくやりがいを感じます。今は人生100年時代とも言われていますが、人生の中で『仕事』に関わる年月は非常に長いものです。これからも長く関わる『仕事』というものをより充実したものとできるように、利用できる制度を活用しながら、自分のレベルアップを図っていきたいです。」
◎地元出身者の強みを活かせる働き方を求めて
山形支店初となる女性の融資職員、東海林 岬さんは、「地域総合職」として入社して3年目となる。現在は企業のことを把握し、融資や情報提供によりお客様の支援を行っている。
「地域総合職は、本拠地となる都道府県を設定し、異動範囲は原則として、ブロック内に限定されます。採用後10年程度は本拠地勤務となり、その後はブロック内で本拠地とそれ以外の支店を交互に勤務することになります。私は山形出身なので、本拠地を山形としました。
地元の企業を支援しつつ、県外の企業も見ることができることに魅力を感じ、地域総合職として入社しました。」
企業を訪問すると、女性が担当ということに驚く経営者も少なくないという。「女性」ということでお客様が不安にならないように、というプレッシャーも少なからずあるが、お客様からお礼を言われると、それがやる気に変わる。
「山形では女性の融資担当者は私だけですが、全国に悩みを共有できる仲間もいて、目標を立てながら主体的に仕事ができる環境も整っているので、とてもやりがいを感じています。また、ワーク・ライフ・バランス推進のため、残業削減や休日の取得推進等の社内制度も進んでいるので、計画を立ててプライベートを楽しむことができています。現在、大谷融資課長のもと親身に指導していただいていますが、早く1人立ちして融資判断や経営相談等を独力で行えるよう勉強していきたいと思っています。」