やまがた子育て・介護応援いきいき企業
第59回 アイル・クリエイト株式会社

従業員数(2017年12月現在)
女性14名 男性6名(合計20名)

アイル・クリエイト株式会社は、平成26年11月に創業、4年目を迎えた。複数の福祉施設を運営し、主に新庄市や最上郡内の高齢者へ対する福祉サービスの提供を行っている。
同社は、通所介護事業所として新庄市大町に「福祉ステーション・つばさ」を、短時間デイサービスとして新庄市万場町に「ミニデイサービス・つばさ」を、有料老人ホームとして新庄市大町に「つばさ・ホーム」を運営している。
これらの施設は主に商店街の中にあり、地域と密接な関わりを持ちながら運営されている。

◎「山形いきいき子育て応援企業」登録・認定について

優秀(ダイヤモンド)企業認定 平成29年11月30日

◎基本理念

誰もが住み慣れた地域で、安心して心豊かにその人なりの暮らしが続けられるように支援する。

◎基本方針

1.利用者の心身の特性を理解し、その有する能力に応じた自立した日常生活を送れるよう、必要な日常生活上の援助や機能訓練を行うことにより、安定した心身状態を維持し、家族の介護負担の軽減を図る。
2.関係市町村、地域の保健・福祉・医療サービスとの綿密な連携を図り、総合的なサービスの提供に努める。
3.職員一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活等においても健康で豊かな生活を送れるよう、「ワーク・ライフ・バランス」推進に取り組んでいく。

【写真左から 栗田洋子さん 中塚早苗さん 梶浦ちえ子さん】

◎一人ひとりに合ったケア

アイル・クリエイト株式会社では、地域の方々と高齢者が深く関わりを持って、利用者もそのご家族も、皆が穏やかに過ごせるようにという理念で事業を行っている。
「弊社の福祉サービスの拠点である『つばさ・ホーム』は、街中の商店街に面しているので、利用者が外出したり、生活するのに、大変便利な立地です。また、『福祉ステーション・つばさ』では、入浴や食事、介護ケアのサービスをその方の介護度に合わせてお手伝いをさせていただいています。」(施設長 中塚さん)
さらに同社では、近々、障がい者のためのグループホームも開設予定だという。
「地域の全ての方との関わりを、という理念のもとに、高齢者の方も障がい者の方も共に暮らせるようにと考えています。開設予定の障がい者のグループホームは、高齢者のグループホームと違い、利用者は、日中、各々の作業所や会社で働いた後、ホームへ帰って来られます。つまり、毎日の日常生活を送る場がグループホームであり、私達はその共同生活の支援にあたります。」(事務 梶浦さん)

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【通所介護事業所「福祉ステーション・つばさ」の様子】
①レクリエーション ②茶話会 ③新年会

◎地域との関わり

地域との関わりを大切にしているアイル・クリエイト株式会社では、地域のイベントにも積極的に参加するようにしている。今年度は、新庄市が開催した中学生向けの出張職業体験会「Shin-job」に参加した。これは、新庄市に暮らす子ども達が、地元企業への理解を深め、将来的に新庄を担う人材として活躍してもらうことを目的に開催されているものだ。
「視野が狭くなるゴーグルや、砂をポケットに入れて手が上がらない状態を経験できる体験グッズを持って行き、中学生に高齢者や障がい者の疑似体験をしてもらいました。また、車椅子の乗車や操作等を体験するコーナーでは、これらがとても大変な状態なのだということを実感してもらい、生徒からは大変好評でした。」(課長 栗田さん)

◎介護予防と高齢者の交流の場「大人の学校」

アイル・クリエイト株式会社では、介護予防事業として、要支援の方などを対象にしたプログラムを行うミニデイサービスも行っている。
「ほぼ自立されている方や介護が必要になる前の方向けに、短時間の『大人の学校』を開校しています。大人の学校のメソッドをもとに、昔、学校に通っていた頃を思い出してもらうような感じで、授業形式で実施しています。国語、算数、理科、社会、さらに音楽や体育の時間があります。時間割の2時間目は家庭科(昼食)なんです。授業をきっかけに、むかし新庄はこうだったとか、あれはこうだったとか話が弾み、知らない人とでもすぐに仲良くなれます。いろんな人と会話をすることで、認知症も防げるのではないかと思っています。」(課長 栗田さん)
大人の学校は、以前寿司屋だった建物を改装して実施している。和風のアットホームな空間は、ほっと落ち着ける雰囲気だ。

【寿司屋だった建物を改装して施設として利用】
【大人の学校の一場面(国語と家庭科の授業)】

◎従業員のワーク・ライフ・バランスに応じた働き方

「女性従業員が多く、育児や介護をしている職員も多いので、彼らが働きやすい職場を実現しようと思っています。介護職は大変な職業だと言われることが多いのですが、離職に繋がらないよう、就業規則や介護休業の規定等を見直しました。また、子どものお迎えがある場合などは勤務時間を短くしたり、学校の行事に合わせて休みを取ることもできます。」(施設長 中塚さん)
有料老人ホーム「つばさ・ホーム」では、ローテーションでの夜勤が基本だが、夜勤を免除してもらえる勤務体制もある。
「1ヶ月のシフトを作る前に事前に希望を聞いています。どうしても休みがかぶってしまって都合がつかない場合でも、スタッフと相談しながらシフトを決めています。」(施設長 中塚さん)

◎積極的な助成制度の活用

「介護業界では、やはり人手不足が大きな問題になっています。弊社では従業員の定着を目指して、国や県などの自治体が実施している様々な制度を利用させていただき、働きやすい環境作りに取り組んでいます。」(事務 梶浦さん)
例えば、県が行っている「ひとり親介護職参入促進事業」を利用すると、18歳未満の子を養育しているひとり親の方が介護職に就いた場合、保育料の補助や家賃補助が出る。同社では、実際にこの制度を使って働き始めたスタッフが、現在では資格を取得し、夜勤にも入れるようになり、会社に貢献してくれているとのこと。
さらに、国が行っているキャリアアップ助成金を活用したり、従業員を社外の研修に積極的に派遣しているという。
「ここで働いていると、いろいろな研修に行かせてもらえるという利点があります。私も認知症介護の研修や、リーダー研修、障がい者の方の相談員研修にも行かせてもらいました。大変勉強になります。」(課長 栗田さん)

◎女性管理職の登用について

 

【福祉ステーション・つばさ 施設長兼生活相談員 中塚 早苗さん】

「現在、福祉ステーション・つばさの施設長をしています。福祉の仕事は、トータルで9年目になりますが、アイル・クリエイト株式会社は2年目で、立ち上げから携わっています。」
中塚さんに介護職に就いたきっかけを伺った。
「それまで30年くらい事務職をしていたのですが、10年前の親の入院がきっかけで介護の勉強を始めました。その後、介護現場で働きながら社会福祉主事や介護福祉士の資格を取って、今の役職に就いています。管理職となった現在では、自分がやってきて得た経験や技術を少しでも後輩に伝えていきたいと考えています。」
女性スタッフの大変さを理解できるのも、女性管理職ならではだ。
「私達の職場では子育てしながら働いている方もいます。私もずっと子育てしながら働いてきたため、子育てをしながら働くことの大変さはよくわかるので、働く環境を少しでも良くしていきたいなと心がけています。」
今後、この施設の職場環境がどう変化していったら良いかについて伺った。
「人それぞれ違いますが、誰にでも悩みはあると思うんです。それを一人で抱えてしまうと大変なので、話しやすい職場環境にしていきたいです。また、仕事の面でもいろんな問題にぶつかると思いますが、そんな時も、一人で抱えないでみんなで相談していき、仮にその場では解決できなかったとしても、それも次に繋がっていくと思います。そうして、誰もが悩みや問題を一人で抱えないようにしていきたいです。そんなことが目標です。」
最後に、後輩従業員へのアドバイスを伺った。
「自分なりに勉強すること、知識を高めることは、将来的に必ず自分の大きな財産になるので、技術向上のための研修など、ぜひいろいろなところに出て行って勉強してもらいたいと思います。」

◎60歳を過ぎての挑戦

 

【福祉ステーション・つばさ 課長兼生活相談員 栗田 洋子さん】

「私は、以前、別の介護施設で働いていましたが、現在はつばさのデイサービスの相談員と有料老人ホームのケアスタッフをしています。当初は契約社員でしたが、現在は正社員となり、課長という肩書きももらっています。」
栗田さんは、家庭で介護を経験し、その際にホームヘルパー2級の資格を取得した。
その後、働く時間がもてるようになり、それまで家庭でやってきた介護の経験を活かし、介護職に就くこととなった。
栗田さんに正社員に転換をされたきっかけを伺った。
「ある時、会社で正社員を募集していたんですね。当時、私は60歳を過ぎていましたが、定年は65歳なので、この歳でも正社員になれるのであればと思い、採用試験を受けさせていただきました。若い人にも、『頑張れば正社員になれるんだ』ということを知ってもらいたくて、挑戦して正社員になった次第です。介護福祉士の資格も60歳を過ぎてから取ったんです。そんな私は、現在、高齢者の方の入浴、食事のお手伝い、排泄のお手伝い、居室やトイレの掃除、洗濯など、日常の生活のお手伝いをさせていただいております。暮らしやすい、その人に合った生活をしていただけるお手伝いを心がけています。」
さらに、施設の利用者との関わり方について詳しく伺った。
「利用者に対しては、まず苗字や名前を『さん』付けで呼んで、その方の尊厳を大事にしています。中にはとてもかわいらしい方もいて、思わず『ちゃん』付けで呼びたくなるような人もいますが。お一人おひとり性格も違いますが、毎日のように接していると、その方がどんな風に手伝ってもらいたいかなど、言われなくてもわかるようになってきて、これも経験からくるものだと思っています。コミュニケーションに苦労する時もありますが、言葉はなくても握手したり、体に触れたり、接する中で気持ちは通じていきます。今ではそういったコミュニケーションも、苦労とは思わないですね。とにかく利用者の方が喜んでくれて、笑顔になって、『ありがとさん』って言ってもらえるのがやりがいです。」
今後の目標や、後輩従業員に対する思いを伺った。
「ここを初めて利用する利用者やそのご家族に『ここだったら安心して頼めるな』と思っていただけるようになってもらいたいですし、そんな施設にするためにも、若いスタッフにも同じ気持ちで仕事に取り組んでほしいですね。そして、スタッフみんな仲良く、なんでも話し合ってやっていけるような施設になったら嬉しいです。」

 
2018年2月1日