やまがた子育て・介護応援いきいき企業
第50回 株式会社東北福祉サービス

従業員数(2016年5月現在)
女性173名 男性109名(合計282名)

 株式会社東北福祉サービス(代表取締役・松田浩二)は、介護保険法に基づく介護サービス(通所介護・住宅型有料老人ホーム)、(介護予防)認知症対応型共同生活介護、居宅介護支援事業を運営している会社です。

◎「山形いきいき子育て応援企業」認定について

優秀(ダイヤモンド)企業 認定  平成28年1月

◎企業理念

・CS:カスタマー・サティスファクション(ご利用者様の満足)
 利用者第一の発想で業務に取り組み、サービスの質の向上を積極的に促進するものであること。
・ES:エンプロイ・サティスファクション(職員の満足)
 職員の生活や雇用の安定を確保するとともに、業務上の成果や能力開発を適正に評価し、公正処遇を実現することによって、働き甲斐のある職場づくりが図られるものであること。
・MS:マネジメント・サティスファクション(経営の満足)
 組織の使命や目的達成に対する健全な当事者意識を醸成し、業務運営の効率性や効果性が確保できるものであること。

◎東北福祉サービスのビジョン

 【山形を代表する会社を創る】
  3つの企業理念を掲げ、介護・福祉事業を展開している。高齢社会と呼ばれる中で常に成長をし続ける企業であり続けると同時に地域に大きな影響を与え、介護・福祉といえば「東北福祉サービスである」と言われるような魅力のある、山形を代表する会社を社員一丸となって創り上げていくことをビジョンとしている。

 株式会社東北福祉サービスは平成11年2月に設立。翌年に山形市、天童市のデイサービス事業所開所を皮切りに事業を開始。山形市、寒河江市、天童市、東根市、中山町、河北町に直営で18の事業所を設置し、介護・福祉事業を運営している。
 事業内容は、グループホーム運営事業、宅老所・デイサービス運営事業、居宅介護支援運営事業の3事業を行っている。6事業所あるグループホームでは、認知症の方々を対象に、その進行を遅らせることを目標としながら、少人数制でアットホームな雰囲気の中、共同生活を送っている。通所介護兼有料老人ホームは11事業所あり、日中自宅で一人で過ごす方や日常生活が困難な方を対象に、デイサービスを提供しているほか、夜は宿泊サービスも提供している。居宅介護支援事業所は、本社と併設の1事業所で、介護が必要な方に適切なサービスが提供できるよう、居宅サービス計画(ケアプラン)の作成を行い、利用者や家族、介護事業所等との連絡調整を行っている。

◎女性活躍について

 女性の管理職の割合は現在、39.1%と高く、多くの女性が管理職として務めている。その一人である総務部長の遠藤由美子さんは、会社における女性の活躍について、次のように語った。

 「会議の場では、男性の割合が多いですが、女性も、思ったことは何でも意見できる関係にあると思います。また利用者の方の気持ちに寄り添い、きめ細やかな気遣いで話ができるのは、女性の強みではないでしょうか。今後は、会社説明会など外部と接する場により多くの女性職員が携わる機会が持てるといいですね。実際、参加者から、女性は話しやすかったと言われることも少なくありません。相手の思いを上手く汲み取ることができ、様々な角度から物事を考えることができる女性の強みを活かした機会を作りたいですね。女性の活躍は会社のアピールにも繋がるので、さらに女性が活躍できる会社になればと思っています。」

◎働きやすい職場づくりについて

 株式会社東北福祉サービスが行っている、働きやすい職場づくりのための取り組みについても遠藤総務部長に話を聞いた。

 「女性は相手の意を汲んで、いろいろな角度から物事を考えることができるので、信頼して、話しやすく、相談しやすいこともあると思います。昨年12月より、私ともう一人の職員で各事業所に出向き、職員一人ひとりのヒアリングを行っています。日頃思っていることを会社にどう伝えたらいいのか困っている職員もいるので、管理職が職員の声を聞くことはとても重要なことだと思っています。職員からは、意見を聞いてもらえる場があって良かったという声が上がっています。同じ事業所で働いていると、言いたくてもなかなか言えないこともあると思いますが、ヒアリングを行った後は、互いに話しやすく、その後のコミュニケーションが上手く取れているように感じます。また、ヒアリングを通じて、事業所内で職員同士の考えが、同じ方向になり、仕事に対するモチベーションアップに繋がったと感じます。
 ヒアリングは1年をかけて全職員に行うことを目標にしています。これからも職員が意見できる場の提供は大事にしていきたいと思います。」

 丁寧なヒアリングを継続して行うことで、事業所内の職員同士のコミュニケーションが円滑になり、個々の仕事に対するモチベーションが上がるなど、さらに働きやすい職場になっていく。今後こうした取り組みが離職率の低下に繋がっていくのではないだろうか。

【総務部 後藤 健太郎さん】

◎山形いきいき子育て応援企業の優秀(ダイヤモンド)企業認定を受けて

 株式会社東北福祉サービスは平成28年1月に、山形いきいき子育て応援企業優秀(ダイヤモンド)企業に認定された。認定の経緯とその後について、総務部の後藤健太郎さんに聞いた。

 「認定企業には県内で名の通った企業が多く、当社も18事業所に300名近い従業員が在籍するまでになってきたので、もっと広く認知されればと期待を込めて申請しました。山形いきいき子育て応援企業として認知されるからには、会社の中の制度や組織がしっかりしていなければならないので、社内の制度を見直しました。お陰で、会社の内部強化になるとともに、企業イメージの向上にもつながったと思います。山形いきいき子育て応援企業への申請は、当社が成長できるきっかけになりました。」と、後藤さんは力強く語った。

 株式会社東北福祉サービスにおける女性職員の育休取得率は、なんと100%で、全員が取得している。

 その理由について、「職員には、妊娠・出産を理由に辞めずに、出産後は職場に復帰してほしい、また一緒に働いてほしいという思いがあります。会社が育児休業の取得を促し、安心して子育てできる環境を提供することで、その職員は育児に専念し、再び会社に戻れるという安定した気持ちで母親としての時間を過ごせると思います。母親の安心は、お子さんや家族の安心に繋がります。今後も当社では積極的に“働くママ”達を応援していきたいですね。」と後藤さんは話す。

 育休取得率の高さは、山形いきいき子育て応援企業優秀(ダイヤモンド)企業の認定を通じて、社内意識向上につながった結果であろう。

◎仕事と家庭を両立しやすい環境を目指して

 株式会社東北福祉サービスでは、子育て中の職員を支援している。 

 「小さいお子さんがいる家庭では、母親が夜間不在になると、子どもも寂しい思いをしますので、夜間の勤務を制限する措置を設けています。最長で、子どもが小学校就学前まで利用することができます。その他、保育園等に迎えに行かなければならない場合など短時間勤務制度も利用できます。また、育児・介護休業から復帰後は、原則として休業直前の部署での勤務になるよう配慮しています。育児休業を経ても自分の帰る場所がある、そして会社も帰ってくるのを待っていてくれるという環境づくりをしようというのがこれらの制度です。職員が復帰しやすいよう、子育てしながらでも働きやすいようにフレキシブルな環境づくりを目指しています。」と、後藤さんは語った。

【グループホーム嶋 介護員 村上 陽子さん】

◎仕事と子育ての両立

 グループホーム嶋で介護員として働く村上陽子さんは、夫と1歳の子どもとの3人暮らし。今年の4月に育児休業から復帰した。勤務はシフト制で、子どもが小さいため夜間の勤務は免除してもらっている。また、育児の状況を勘案して、勤務時間は8時30分から17時まで、早番の場合は、7時から16時までと通常より就業時間を早めている。勤続年数6年で、現在の職場は2ヶ所目のグループホームになる。

 「もともと夫とは子どもが産まれたら、夜間の勤務がないところで働きたいと話していました。介護員の仕事は夜間の勤務があるので、出産後、仕事を続けるかとても悩みました。グループホームの管理者に相談したところ、夜間の勤務を免除すれば仕事も続けられるのではないかと言っていただき、仕事を続けることを決意しました。今、こうして子育てしながら仕事を続けられるのは理解ある会社や上司、周りのスタッフのお陰だと、とても感謝しています。
 育児休業から仕事に復帰して間もなく3ヵ月になりますが、仕事と育児とのバランスにようやく慣れてきたところです。出勤前の朝は、子どもの世話もしなければならないのでさらに忙しくなりましたし、帰宅してからは、子どもの食事の準備や入浴などもあり大変ですが、こうして会社の制度を活用しながら、今は仕事と家庭生活をうまく両立できていると感じています。
 所属するチームのスタッフは女性のみで、子育てを経験した人が多くいます。私が夜間勤務ができずに申し訳なく思っていることを告げると、「まだ子どもが小さいから大丈夫だよ。」といろいろと配慮してくれてとても感謝しています。上司の理解もあり、また仲間内のコミュニケーションもよくとれているので、学校行事などで仕事を休まなければならない時は、お互いに融通しながら休みを調整しています。」

 村上さんは、今年、介護福祉士の資格取得を目指している。子育てでなかなか勉強時間が取れない中、資格取得に前向きになれたのは、株式会社東北福祉サービスが子育て中の職員を支援する職場づくりを行っているからであろう。今後の抱負を尋ねると、「資格を取得し、より深い知識を持って充実したケアを行いたい。」と語った。

 
2016年7月1日