「労働やまがた12月号」今月のひと

弘栄設備工業株式会社
代表取締役社長
船橋 吾一さん

2012年3月に代表取締役社長に就任。「一人ひとりが感動を共有し、こころ豊かな社会を作ろう」をスローガンに掲げ、お客様だけでなく、社員一人ひとりと「感動」を通じたコミュニケーションを大切にしている。また、多様な働き方改革に積極的に取り組んでおり、今年10月には「平成29年度山形県ワーク・ライフ・バランス優良企業知事表彰」を受賞している。

昭和21年創業。 人々の暮らしに不可欠なインフラの要、空気調和設備や給排水衛生設備等に関する工事を県内外で展開しています。
従業員数は112人。男性91人、女性21人と男性が約8割の職場になります。

社員の皆様に力を発揮していただくために工夫されていることを教えてください。

 私が社長になった時、一人ひとりが感動を共有しこころ豊かな会社を作ろうという思いから、「感動」という理念を掲げました。
 そのために、どうやってみんなが「感動」に向かって歩調を合わせていけるのかを考えて、まずは社員一人ひとりとのコミュニケーションを大切にし、信頼関係を築くことを目標にしました。
 そこで、社員との信頼関係がまだ築かれてない中で最初に行ったことが、社内の環境整備でした。ルールを決め全員で社内整備を行い、私自身がチェックマンとなって全ての部署を訪れ評価し対抗戦にしております。チェックの時に頑張ったところをアピールしたり、ちょっとまずかったところをセーフにしてもらえるよう交渉したりと、私と社員の距離も近くなり、また社員同士でも知恵を絞るために話し合ったりして、コミュニケーションの場が生まれました。
 私たちの業務上、工事現場に1年以上常駐になることもあります。以前までは、会社で何が起こっているのか、また現場では何が起きているのかなど解りづらい状況でした。その中で、いかにして社員の皆さんが生き生きとしっかりコミュニケーションをとれて、活躍できる場を作るか、を考えていろいろなことに取り組んできました。

◆iPad・iPhoneの配布
コミュニケーション手段で一番理想なことは対面で話せること、次にテレビ電話、電話で、その次に手紙やメールであると考えます。文字だけでは経過や背景が伝わらないことがあると思います。そこで、iPad・iPhoneを社員全員に配布して、どこにいても朝礼や本部の会議、勉強会に参加できるほか、ウェブ上に会社共有社内日報があり、その日の行動、社内情報やつぶやきを記入し報告し合い、社員同士でメッセージや培った技術を教え合うなど、幅広いコミュニケーションをとることができるようになりました。

◆感動共有事業の開催

動共有事業という名の芋煮会や家族交流会などの開催にも力を入れています。私が社長就任した時の所信表明で、「家族的で温かい会社を作る」ということを社員皆さんの前で約束しました。社員だけではなく、家族や関係団体の皆さんも招いて、同じ時間に同じ体験をすることで、参加した皆さんが、弘栄グループを身近に感じるとともに感動を育み共有できれば幸いと考えています。社員の皆さんも、日頃自分を支えている大切なご家族の皆様を共に働く仲間のもとに連れていきたいとの思いが強くなっているのか、回を重ねるごとに年々参加人数が増えています。

◆社長勉強会の開催
私と社員の皆さんとの価値観を揃える観点から、2週間に1回のペースで社長勉強会を開催しています。その内容は、スローガン斉唱から始まり、これまでの2週間で社長の中で起こった出来事を話し、経営計画書の説明を再度行い、尊敬すべき人のいくつかの言葉の意味とそれに対する私の考え方を述べ、最後に参加社員の皆さんにより感想を述べてもらう、という流れです。この勉強会は、社長のことをとことん知っていただくこと、その上で同じ価値観を共有しようとすることを目的としています。価値観の共有とは、決してイエスマンを創りたいわけではなく、私の考え方を理解していただき、「なるほど」と思う人が一人でも増えて、同じ考え方、そして同じ行動ができればそれは最強の集団であると考えています。私が社長就任した時に始め、現在は70回程ですが、記念すべき100回を超えられるよう頑張ります(笑)

貴社では、社員のワーク・ライフ・バランスの推進に取り組まれ、知事表彰を受賞されています。取り組みの一つである「在宅勤務制度」についてお聞かせください。

 我が社では、女性社員から「在宅勤務制度が欲しい!」という要望があり、制度や導入事例についてインターネットで調べるところから始めました。
 制度の導入の際に、就業規則に制度に係る賃金等の最低限必要な部分を追加しましたが、基本的なことを除けば、絶対こうでなければというルールはあえて設けませんでした。たとえば、労働時間については、「期日までに成果品を持ってきてください」というルールで行い、基本的な労働時間のルールに基づいた柔軟な設定としました。
 また、業務内容については、所属する上司と相談し、依頼するデータをまとめるなど、在宅で無理のない内容か見直しをしています。パソコンを使用する場合は、パソコンや必要な機器は会社で貸出して、自宅にネット環境が無い場合は、会社で整備しています。そして、一週間に一回だけ、会社に来て成果品を報告してもらいます。会社に子供を連れてきてくれたりすると、同僚にみてもらっている間に仕事の打ち合わせをしたりしていて、社内も和んだりしています(笑)
 これまで、主に事務を担当するのべ4人の女性社員が制度を利用しています。皆さん子育てが理由でしたが、今後は介護のため利用したいという方もでてくるのではと思っています。また、病気を抱えての在宅ワークについても可能性があると考えております。
 制度の利用期間や給与等については、本人と話し合い、なるべく要望に沿うような条件を提示し、合意をしたうえで利用していただいています。在宅勤務制度を利用して、家庭と仕事の両立をしてもらうとともに、利用後も会社と家族が密接に関わり、理解し合える関係であれば嬉しいと考えています。

船橋さんの今後の目標についてお聞かせください。

 多様な働き方ができる環境づくりをしていきたいと思います。人生にはいろんな局面がありますが、その局面ごとに、こんな働き方がありますよと言える取り組みをしていきたいです。女性に特化することもありますが、男性のそういった局面にもしっかり対応できる会社でありたいです。
 また、制度があっても利用できない原因としては、同僚の理解が足りないことや制度があるのに理解されていないことがあったりします。コミュニケーションを図って、風通しのよい会社をつくることが大切です。制度を作るだけ

でなく、そういった雰囲気作りも大事だと思います。例えば、今年から有給休暇取得率が上がっています。これは、バースデイ休暇制度を作り、社員に休暇の取得を積極的に呼びかけたところ、みんなが取ろうよという雰囲気が少しずつ出てきて、じゃあとってみようとなってきたからです。
 会議でも、今まではトップダウンでしたが、ボトムアップに方針を変えたところ、徐々に変化してきています。社員が自由に発言し合える、その環境を作っていくことがボトムアップだと思っています。自分の意見を出し合える会議を重ねていくことにより、かたちを変え、新しいものが構築され、それが羅針盤となり、今、会社が進んでいると考えています。

船橋さんが考える「働き方改革」とはどういうものですか。

 どこにいても仕事ができて、会社と繋がっている環境が、私の求める働き方改革なのかなと思っています。根幹になるのは、社員の多様で柔軟な働き方に寄り添えるか、会社がどこまで社員のことを考えているかです。そういった思いが在宅勤務制度などに繋がっています。
 社員が柔軟に働きやすい環境を作ってあげるのが社長の仕事だと思っていますが、社員との信頼関係があって可能になると思います。社員にとっては、一度しかない人生の多くの部分を占める仕事の時間が、素敵な充実したものでなければ、人生を楽しめません。そこをいかに社長として寄り添えるかが大事だと思っています。

 
2017年12月1日