H30「労働やまがた4月号」今月のひと

株式会社エービーエム
代表取締役社長
赤間 俊明さん

東京経済大学を卒業後、大手の警備会社で営業として勤務。
昭和63年入社。役員として経営に携わり、平成21年に社長に就任。
「Customer Delight(お客様感動)」を経営理念とし、お客様に最大限の満足と感動をしていただけるよう、最良の安全・安心・清潔に関する技術と真心のサービスを心がけている。

昭和43年9月に「オールビルマネジメント」として創業。
平成3年にアルファベットの頭文字を取って「株式会社エービーエム」に社名変更。
社員数は男性121名、女性157名の計278名。業務はビル管理、消防設備設計・施工、清掃、警備、舞台管理など。また、指定管理者として多くの公共施設の運営・管理に携わっている。

貴社の特徴を教えてください。

会社目標の第一に事故防止の徹底を掲げています。毎月ゼロのつく日を「安全点検の日」と定め、全社員で安全点検を実施しています。全ての安全を最優先に行動し、エービーエムで働く社員の皆さんが、より良好な労働環境の下で心身ともに充実した日々を過ごすことができるよう、安全衛生活動に励んでいます。

社内で特に力を入れて取り組んでいることを教えてください。

 

社内コミュニケーションの充実に力を入れて取り組んでいます。社員は社外の現場で働く方がほとんどであり、なかなかコミュニケーションが取りづらいこともあるため、現場で働く社員と本社が繋がるツールとして、「セーフティファースト」という社内広報誌を発行しています。掲載内容は、力を入れている労働災害防止についてや各施設の仕事紹介などで、この広報誌を読むことにより、「他の現場ではこういう仕事をしているんだな」と身近に感じることができます。
さらに、各施設や部署ごとに、挨拶が素晴らしいと思う人に投票してもらう「あいさつマイスター」というシステムもあります。昨年度は、新入社員の方も金色の「最優秀あいさつマイスター」を受賞されました。こうやって目に見える形で評価されることにより、社員一人一人のモチベーションが上がっているようです。
また、新入社員の方に関しては、入社後1年間を新入社員フォロー期間としています。年に5回、企画・人事部長が定期的に現場に行き、新入社員の方の話を聞いてきます。世間話をするだけでも、本人も「話を聞いてもらえた」と安心できるのかなと思います。この取り組みの結果、離職率が低くなりました。

赤間さんが大切にされていることはどのようなことですか?

全ての根底にあるのは常に「信頼」という言葉です。「信」は「信用」、人と人を結ぶ一番大切な絆で、「頼」はたのむとか期待するという意味です。私たちは、「不安・不潔・不快」を、「安全・安心・清潔・快適」に変える仕事をしています。ここにこそ、プロとしての専門性の高い技術や知識、意識の習熟が絶対条件になってきます。そういう意味で、しっかりとした人間性とプロフェッショナルとしての仕事が両立できてこそ「信頼」が生まれ、「お客様感動」を得られるのです。
また、「お客様感動」を達成するためには、社員の方が「満足」して仕事に向かう必要があると考えています。「エービーエムで働いて良かった」と思ってもらえるように、モチベーション向上を考えた取り組みを心がけています。

貴社では、非正規雇用の方の賃金の改定をされるなど処遇改善にも積極的に取り組まれていると伺いました。処遇改善に取り組んだきっかけを教えてください。

正社員の方と非正規雇用の方の賃金格差をなくして、同一労働同一賃金に近づけていきたいと思ったのがきっかけです。

山形県では、非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善を促進するため、平成29年度に「山形県正社員化・所得向上促進事業奨励金」を新設したところですが、御存知でしたか?

 

厚生労働省の「キャリアアップ助成金」の申請時に、ハローワークの方から、山形県でも奨励金制度を始めたことを教えていただきました。山形県の奨励金は、キャリアアップ助成金に上乗せして支給されるものだったので、是非活用していきたいと思いました。

どのように取り組みを進められていますか?

今回は非正規雇用の方の賃金改定を行いました。同一労働同一賃金を目標に、何年かかけて処遇改善を実施していきたいと考えています。厚生労働省の助成金だけだと思っていたので、山形県の奨励金の存在はとてもありがたいです。やはり働いている方のモチベーションも上がってくるし、賃金の改定はこれからの処遇改善の良いスタートになりました。

今後の処遇改善を、どのように進めていくご予定ですか?

私の会社には、正社員の方が167名、非正規雇用の方が111名いらっしゃいます。今後は処遇改善だけではなく、非正規雇用の方の正社員化についても進めていきたいと考えています。社員の方の気持ちが一番大事なので、どういった改善が好ましいのか、コミュニケーションを取りながら日々考えていきたいと思います。


「業務改善奨励金」「正社員化促進事業奨励金」「所得向上促進事業奨励金」
山形県では、若者の正社員化と、非正規雇用労働者の所得向上を一体的に推進し、購買力のある中間層を増やしていくため、平成29年度に「山形県正社員化・所得向上促進事業奨励金」を全国に先駆けて創設しました。平成30年度においては、この取り組みをさらに拡充し、新たに「業務改善奨励金」を加え、労働者の総合的な所得向上に取り組んでいくこととしています。≪奨励金の概要≫

業務改善奨励金【新規】 正社員化促進事業奨励金【拡充】 所得向上促進事業奨励金
目的 労働者の所得向上
労働者の賃金底上げ 非正規雇用労働者の正社員化 非正規雇用労働者の所得向上
要件 事業場内最低賃金を30円以上
引上げ(事業場内最低賃金が
800円未満の中小企業・小規
模事業者が対象)
45歳未満の非正規雇用労働者
を正社員に転換し、6か月間継
続雇用
※対象となる年齢を45歳未満
に拡充
(平成29年度は40歳未満)
・非正規雇用労働者の賃金を
2%以上増額改定等し、6か
月間以上適用
・正社員と共通の職務に応じ
た賃金規定を作成して6か月
以上適用
条件 ・山形労働局管内に事業所が
あること
・厚生労働省の業務改善助成
金の受給があること
・山形労働局管内に雇用保険適用事業所があること
・厚生労働省のキャリアアップ助成金の受給があること

◆詳しくはこちら→奨励金特集ページ

社員の皆さんのモチベーションを大切にされていますが、社員の皆さんにより力を発揮してもらうため、考えていることはありますか?

平成30年4月より、継続雇用の延長を実施します。現在、定年が60歳で、継続雇用で65歳まで働いてもらっていますが、それを69歳までに延長します。
また、現場で頑張っている女性を管理職にするべく、人材育成の真っ最中です。個人に寄り添いながらフォローアップしていきたいと思っています。
会社の契約システムについても、変えようと努力しているところです。現在は、作業人数や作業頻度での契約ですが、きちんとした予算でハイクオリティーな仕事を提供していきたいという思いがあるので、作業の品質を基準にした契約システムに変えていきたいです。そうすれば機械化や情報化もできますし、イノベーションという点でも、この業界はまだまだ発展していくと思っています。

 
2018年4月1日