「労働やまがた4月号」今月のひと

第53回技能五輪全国大会 金賞
佐藤繊維株式会社
玉川 愛実 さん

玉川さんは、平成27年の第53回技能五輪全国大会「洋裁職種」において金賞を受賞しました。技能五輪全国大会は満23歳以下の若手技能者が技能レベルの日本一を競う大会で、 ものづくり産業の基盤を担う技能者の育成や技能の重要性のアピールを目的として毎年開催されています。平成28年第54回技能五輪全国大会の開催地は山形県となっており、本県出場者の活躍が期待されます。
 この度は、玉川さんに日々のお仕事についてや技能五輪全国大会に向けて取り組んだことなどのお話を伺いました。
【お仕事の内容について】

玉川さんのお仕事について教えてください。

  主に製品の縫製を行っています。弊社は縫製のなかで部門がニットと布帛(ふはく)に分かれており、私は布帛の縫製をしています。

 ※布帛とは…棉(わた)、麻、絹またはそれらを混合したものを原糸とする布、織物といった繊維製品の総称をいいます。

玉川さんはなぜ今のお仕事に就こうと思いましたか。

  子どもの頃から、ものづくりなど手先を使う作業が好きで、母がフェルト生地でマスコット人形を作っている側で、私も真似をして人形を作っていました。中学生になると、洋服に興味を持ち、自分で洋服を縫えるようになりたいと思い始めました。高校卒業後は、洋裁の専門学校に進み、就職活動をするなかで、自分の好きなこと、学んだ技術を少しでも活かせる仕事がしたいと思い洋裁の仕事に就きました。

貴社を選んだ理由を教えてください。

  メイドインジャパンの品質の高さと社長の常に新しいことへ挑戦する姿勢に魅力を感じたこと、厳選された素材で糸から製品を作っていること、ブランドの世界感やオリジナリティを大事にしているところに魅かれました。また、専門学校で弊社の社長の講習会があり、その時の話が面白くて印象に残ったことも弊社を選んだきっかけです。それに加え、このような社長の会社で働くことは、自分自身の成長につながるのではないかと思い入社しました。

仕事をする上でどのようなことに心掛けていますか。

 製品の品質と縫製のスピードのバランスを保つことです。また、どうしたら仕事の効率が良くなるかを常に考えながら仕事をしています。

【お仕事中の玉川さん】
仕事をしていてどのようなときに難しさややりがいを感じますか?

 これまでやったことのない部分の縫製を行うときは難しいと感じます。しかし、上司にどのように縫製したらよいかを教えてもらいながら練習を重ねることにより、少しずつ出来るようになっています。出来なかったことが、何回も練習して出来るようになった時や、自分の縫製した製品が店頭に並び、お客さまの手元に渡るのを見た時にやりがいを感じます。

【第53回技能五輪全国大会について】

第53回技能五輪全国大会で金賞を受賞されてのご感想をお聞かせ下さい。

  練習などに付き合ってくれた方々に、恩返しの意味でも、弊社の出場選手の中から誰かは入賞したいとは思っていましたが、まさか私が金賞を取れるとは思っていませんでした。そのため、当日は「信じられない」という気持ちでした。山形に戻って来て、たくさんの方々から祝福の言葉をいただいて実感が湧きました。

なぜ技能五輪全国大会に出場されようと思いましたか。

  きっかけは上司から勧められたことでしたが、洋裁の技術や知識をさらに身に付けることができ、勉強になると思ったことと、目標に向かって努力することで自分自身も成長出来る良い機会だと思ったので出場を希望しました。

技能五輪全国大会の様子を教えて下さい。

  競技を行う場所は抽選で決まりますが、会場の端の方の場所になると、観客も近く、声も聞こえるようです。私は会場の中央だったこともあり、観客を意識することもなく作業が出来たので、その点は恵まれたと思っています。
 競技開始直前まではとても緊張していたので、他の選手の様子などなるべく周りは見ないようにし、周りの空気に圧倒されないようにしました。そのおかげで、競技が始まってからは自分のいつもどおりのペースで作業が出来たと思います。

【第53回技能五輪全国大会での玉川さん】
競技で難しかったのはどのような点ですか。

  袖を綺麗に付けることと、重点的に見られるポケットや襟の形があまり作ったことのない形だったので苦労しました。練習では、袖付けが上手く出来ずに前日まで練習をしていましたが、大会では今までの中で一番良く出来ました。
 また、生地の色は当日に発表されるため、大会用の色を想定して様々な色の生地で練習をしてきましたが、本番では練習をしていなかった黄色の生地でした。黄色は、しわが目立ちアイロンの跡が残りやすい色ですが、私の好きな色だったので前向きに捉え競技に臨みました。
 他には時間内に完成させることが大変で、一緒に出場した会社の人たちの中でも、仕上げの時間を取れた人があまりいませんでした。そのような中で、直線や得意なところはなるべくスピーディーに、丁寧に仕上げるところは丁寧にと心掛けました。大会の結果は、細かいところの仕上げまで時間内に終了させることが出来たかの差だと思います。

貴社からは5名が出場しましたが他の選手のことを意識しましたか。

  他の選手をライバルと意識するよりは、一緒に練習し出場できる仲間だと心強く思っていました。ほぼ全員が初めての出場で、わからないことがたくさんあったので、「この部分はこうした方が良い」などと縫い方を共有したり、大会の前日には宿泊したホテルで全員が集まり、ボタンホールの穴かがりの練習をしたりしました。現地に行っても気軽に話が出来る仲間がいることで安心することができました。

技能五輪全国大会に向けてどのような練習をされたのでしょうか。

  仕事が終わった後や休日に会社から場所を借りて裁断や縫製の練習を行い、家では手縫いなどの練習をしていました。
 他には、大会のスケジュールに合わせて、2日間に分けた通しでの練習や、重点的な部分を抜き出して練習をしました。そして、完成した製品を人台に着せてしわのチェックを行いました。
 また、県洋裁技能協会の先生や技能五輪全国大会金メダリストによる講習会に参加し、会社の先輩にもアドバイスをもらいながら繰り返し練習をしていました。

技能五輪全国大会の金メダリストを招いた強化練習会で、金メダリストの作業を見たときは、みなさん刺激を受けたと聞きましたがいかがでしたか。

 洋裁を競技として見るのは初めてでしたので、まず作業のスピードの速さに驚きました。その時はまだ時間内に完成することが出来ていなかったので、「これくらいのスピードが必要で、裁断のリズムはこれくらい」というのを直接見ることが出来たことで、それ以降は作業のスピードを意識して練習しました。

【インタビュー中の玉川さん】
【人台】
技能五輪大会に出場して成長した点はありますか。

  日々の練習の中で知識や技術を身に付けるだけではなく、目標に向かって持続的に練習するための精神力や忍耐力も鍛えられたと思います。

今年は山形で第54回技能五輪全国大会が開催されます。2年連続金賞の期待が高まっていますが、そのことについてどうお考えですか。

 技能五輪全国大会が山形で開催されることを嬉しく思います。私は金賞受賞を意識すると、おそらくプレッシャーを感じ、いつもどおりの作業が出来なくなると思いますので、前回よりも良い作品を作ることに集中したいと思います。
また、新しい課題で勉強が出来る機会ですので、自分の知識を増やしながら、綺麗に完成させることを意識したいと思います。

第54回技能五輪全国大会に出場する選手の方や、今後技能五輪に出場しようと考えている方へメッセージをお願いします。

 夢への第一歩として、とても自分の糧になる大会だと思います。結果だけでなく、目標に向かってひたむきに努力する経験は大事だと思いますので、自分を信じてぜひ挑戦していただきたいです。

玉川さんの今後の目標を教えてください。

 これまで経験したことを忘れずに、さらに自分の知識を増やし、新しいことも出来るようになりたいと思っています。
 そして今の仕事を極め一人前になれるように日々精進し、胸を張って「職人」と言えるようになりたいと思います。

■ 「やまがた技能五輪・アビリンピック2016」公式HPのURLはこちら
 http://yamagata-wazaou.jp/

 
2016年4月1日