「労働やまがた8月号」今月のひと

一般社団法人 山形県農業会議
雇用支援専門員
伊藤 由希 さん

伊藤さんは、山形市緑町にある一般社団法人山形県農業会議にて、雇用支援専門員として勤務されています。
 今回は、伊藤さんに日々のお仕事内容や今後の目標などを伺いました。
【お仕事の内容について】

相談窓口の開設時期、また、開設された経緯を教えてください。

  全国農業会議所で平成20年の12月から、国の事業で『農の雇用事業』が実施されることになりまして、各都道府県農業会議でその業務の委託を受けています。
 農業法人への就業希望者や求人を希望する農業法人に関する相談に適切に対応するために、平成22年の11月から農業法人就業相談窓口と雇用支援専門員というものが設置されました。

伊藤さんのお仕事の内容を教えてください。

 全国農業会議所で実施している『農の雇用事業』では、45歳未満の若者の農業法人等への就業を促進して将来の農業の担い手の確保や育成を図るため、農業法人等が就農希望者に対して技術や経営のノウハウ等を身につけさせるために実施する研修に要する経費の一部への支援を行っています。
 この事業に経営体が応募する際に、「私は応募できますか」といった相談が多くあり、個別に聞き取りを行いアドバイス等をしております。また、事業採択後、実施にあたっての相談も受けております。

【事務所で作業中の伊藤さん】
相談はどのくらいありますか。

 直接相談に来られる方もいらっしゃいますが、電話の方が多いです。
 件数は、募集をかけた時期が多いです。特に事業主の方からの相談が多くあります。

相談窓口の業務で、心がけていることは何ですか。

  受ける相談内容は、「農の雇用事業を使いたいのだが、何からどういう風に書類を作ったらいいのか」というものがほとんどです。説明するうえで、事業上のルールや、要件も当然あるのですが、特に提出物関係の期日を厳守していただくことを基本にしています。
 しかし、それを徹底するあまり机の上だけの事業にならないように、なるべく経営体の方の立場に立って考えながら、それぞれの農家さんの生きた事業になるよう柔軟な対応をするように心がけています。
 農業は拘束時間が長いので一仕事終えてから書類を作ることはとても大変です。あまり慣れていらっしゃらない経営体の方には、できることはこちらでフォローすることもあります。

【インタビュー中の伊藤さん】
相談窓口の業務で御苦労されていることはありますか。

 この事業を使っている研修生の方が雇用先でいきいきと働き経験を積んでいる姿を、応援するのが私たちの役割だと思っています。しかし、残念ながら事情があってその研修を途中で中止してしまう人がどうしてもいます。その場合に、経営者と研修生、それぞれから個別に事情を聞き取り、現状を把握したり原因を探ったりするのですが、労務管理関係で改善に結びつけるということがなかなか難しいと感じます。また、私たちだけに話してくれることもあるのですが、それを次にどういう方向につなげていけるかというのも考えるべきところです。あまりにも専門的な知識を要する部分は、専門家の先生方におつなぎすることもございます。
 なかなか現地まで直接出向いて視察させていただくことも難しいので、どうしても書類や電話等でのやりとりが中心になってしまうのですが、どんな時も身近で相談しやすいなと感じていただけるように、相談者の立場に立って接するということに努めています。

【打ち合わせ中の伊藤さん】
このテーブルで相談を受けています。
【伊藤さんご自身について】

「山形県農業会議」さんでお仕事をしたいと思った理由を教えてください。

 山形は新鮮でおいしい食べ物が豊かなことや、温泉が多い等、全国から注目されているのだということを見聞きして知りました。山形の農業については何も知らない状態だったのですが、地元の農産物や加工品等とコラボレーションしたようなイベントに興味がわき、山形の主力産業である農業というものに関わるお手伝いがしたいなと思い、臨時職員として採用していただいたのがきっかけです。

お仕事をされていてやりがいを感じる時はどんな時ですか。

  『農の雇用事業』の研修生の方や、経営体、農家さんから、「今度経営を拡大します」とか、「今度こういうものを新しく始めます」等の報告をいただくことがとても嬉しいです。あとは農業関連のニュースやテレビ・新聞等で、ご活躍されている姿を見る時も、担当職員皆で喜んでおります。
 山形県は『農の雇用事業』の採択経営体と研修生の数が全国で6番目、東北では一番に多い県です。研修生の皆さんに山形の農業を誇りに感じてもらい、担い手として引っ張っていく存在になっていただけたら嬉しいなと思います。
 研修は2年間なのですが、農業経験年数が5年以上だと認定農業者として『農の雇用事業』で後輩に教える立場に立つ方もいらっしゃいます。そういった方が出てくると、こちらとしても頼もしく感じます。

【職員さん手作りのオブジェ】
相談テーブルの近くには、職員さん手作りのオブジェが飾られています。
 季節ごとに変わるこの風景が、相談に来られた方を和ませています。
伊藤さんのリフレッシュ法は何ですか。

  山形県農業会議にお世話になるきっかけというのも、おいしい農産物について知りたいという動機だったので、農家さんの新しい商品や話題のレストランを探して、女性職員と情報交換をしたりするのが楽しみです。
 プライベートでは、学生時代に音楽を学んでいたので、機会があればコンサートに出かけるのも良い気分転換になっています。楽器演奏の鍛錬というのはなかなか終わりがないものです。研鑽を積むという意味では農業も同じなのかなと感じています。新しく農業を始めて試行錯誤することもあると思うのですが、農業をされている方と同じ視点に立って少しでも力になれたらと思います。

伊藤さんの趣味や、最近興味のあることは何ですか。

 最近夫の実家からいちごの苗をプランターでもらったのですが、アパートのベランダで育てているので、なかなか大きな実をつけるまでに至りません。でも、農業初心者なりに、育てるということはすごく楽しいなと感じています。今度現地確認の時に、農家の方に栽培のヒントを教えてもらおうかなと思っています。

【インタビュー中の伊藤さん】

農業に関心のある方へのメッセージをお願いします。

  農業を始めることは一大決心だと思いますし、山形では、資金的な面で悩まれる方が多いように思われます。「そんな事業があるのは知らなかった」といって諦めてしまうのは勿体ないし、活用できる事業があると知ってもらえる機会があれば、もっと若い方でも「やってみよう」と思う方が増えるのではないでしょうか。昔ながらの農業のやり方はもちろん大事ですが、これからの新しい形もまた、注目されていくと思います。雇用就農という形で、自らの活躍の場を発見するきっかけとなれたら嬉しく思います。

最後に伊藤さんの今後の目標を教えてください。

 業務内容がほとんど『農の雇用事業』なのですが、実施している経営体の研修生の方が研修を2年間無事に終えて、活用して良かったなと感じていただきながらいきいきと農業で活躍できるように、事業の意義をしっかりと理解していただくということが目標です。さらに、担当の事業だけではなく、他の支援事業の理解を深めて、横断的に説明できるように日々勉強していきたいなと思っています。一つ一つ詳しく説明できるようになるのは難しいと思いますが、そういった橋渡しぐらいまではできるようになりたいです。

(一社)山形県農業会議について
一般社団法人山形県農業会議は、平成28年4月1日に一般社団法人に組織変更され、「農業委員会の事務の効率的かつ効果的な実施及び農業生産力の増進及び農業経営の合理化を図り、農業の健全な発展に寄与する」ことを目的とする団体です。
 
2016年8月1日